研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
15H00961
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
河内 敦 法政大学, 生命科学部, 教授 (70260619)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シラン / ボラン / シリルボラン / 官能性シラン |
研究実績の概要 |
ケイ素-ホウ素結合を母体骨格にもつシリルボランは,典型元素化学および有機合成化学の分野において,精力的な研究がおこなわれている。特に,ケイ素原子上に官能基をする官能性シリルボランは,求核剤,還元剤,熱,光等に対して高い反応性を示すことが期待される。本研究では,ケイ素上に官能基を有し,ホウ素原子上にアリール基を有する官能性シリルボランを「高感応性シリルボラン」と位置づけ,その合成,構造,物性の解明をおこなう。 今回,(アミノシリル)ボランを合成するために,アミノシリルリチウムとフルオロボランとの反応をおこなった。アミノシリルスタンナンとブチルリチウムとのスズ-リチウム交換反応により,THF中でアミノシリルリチウムを発生させた。これとフルオロボランとをTHF中で反応させた。反応混合物の1H NMRを解析した結果,アミノジシラン(42%)およびアミノボラン (37%)が生成していることがわかった。これらの化合物の生成機構を次のように推測した。アミノシリルリチウムの窒素原子にフルオロボランのホウ素原子が配位することで錯体が生成する。この錯体においてはアミノ基の脱離能が増大しており,この錯体のケイ素原子をもう一分子のシリルリチウムが攻撃することで,ケイ素-ケイ素結合の形成とケイ素-窒素結合の切断が起こり,ジシラニルリチウムとフルオロボレートが生成する。ジシラニルリチウムがプロトン化されることでアミノジシランが生成し,フルオロボレートが分解することで6を与える。このように官能性シリルリチウムとハロボランとの反応では,ヘテロ原子官能基のルイス塩基性も重要な因子となることがわかった。現在,種々の反応条件下で,アミノシリルボランの合成を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在のところ,当初の目的に合致した感応性シリルボランの合成には至っていない。 しかし,自己縮合がおこらないとされていたアミノシリルリチウムが,ホウ素原子の作用によって自己縮合タイプの二量化を起こし,官能性ジシラニルリチウムが生成することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
ホウ素原子上の置換基のバリエーションを増やし,合成ターゲットを増やす。また,官能性ジシラニルリチウムの生成は非常に興味深い反応であるため,この反応の詳細な機構を解明し,新規な官能性ケイ素化合物の合成へと展開したい。
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