研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
15H00962
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
箕浦 真生 立教大学, 理学部, 教授 (30274046)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 元素化学 / 結晶構造解析 / 16族元素 / 超原子価 / 高反応性化学種 |
研究実績の概要 |
トリプチシル基の二枚のベンゼン環が作る空間が、高周期典型元素を含む弱い化学結合を速度論的に安定化することを見出しており、この知見に基づいて周辺立体保護基を新たにデザインし、トリプチシル基を母骨格とする新しい嵩高い置換基の開発を行った。この保護基を用いて酸化状態2価のセレンを含む極めて安定なセレネン酸の合成単離に成功した。このセレネン酸は、熱的に高い安定性を有する一方で、自己多量化を起こさずに種々の試薬と反応することが明らかとなった。 高周期16族元素であるテルルを中心元素に選び、電子供与性置換基をもつ高酸化状態の4および6価超原子価化合物群へと誘導する検討を行った。研究代表者の開発した技法により、極めて高純度の有機金属試薬を用いて16族元素化合物を合成すると、通常単離困難な超原子価化合物の熱的安定性が向上することを見出している。ジアルキルアミノフェニル基(Ar)を有する中性4価Ar4Teを合成し、酸化的ハロゲン付加を行い、対応するジハロゲン体を単離した。さらにこれを対応する6価Ar6Teへと誘導することが出来た。電子供与性 置換基を有する4および6価超原子価化合物として初めて結晶構造解析を行うことに成功した。 引き続き、酸素にはない多様な酸化状態の16族元素を含む感応性化学種の創製を世界に先駆けて行なうこととしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って、高周期16族元素を含む新しい感応性化学種の合成単離を達成している。特に、通常は合成単離が困難な電子供与性置換基を有する超原子価テルル化合物について結晶構造解析に成功しており、今後、研究を遂行することで研究計画と目的が達成出来るものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の知見に基づき、感応性を基軸とする反応性の解明を行い、また、平行して弱い化学結合の速度論的安定化による性質解明を実施する。
|