公募研究
鉄オキソ種を活性種とする触媒によるLate-stage Oxidationのための選択酸化反応が脚光を浴びている。しかし、これらの触媒が真に有機合成の現場で使用されるには、触媒回転数が低い、選択性が基質の酸化されやすさに依存している等の克服すべき課題がある。金属酵素の酸化活性種となる金属オキソ種は、対応するパーオキソ種のO-O結合の開裂により生成する。本研究では、金属酵素が行っているパーオキソ種のO-O結合の開裂により生成する金属オキソ種への変換を触媒設計に取り入れる。具体的には、鉄パーオキソ種から鉄オキソ種を行い、かつ基質結合によって鉄オキソ種を生成する鉄錯体を合成し、高い触媒回転数と位置特異的酸化を達成する。これまでに、過酸化水素によるアルカンの水酸化反応に対して例外的に高い選択性と耐久性を示す鉄錯体触媒を開発してきた。また、触媒活性の向上だけでなく、触媒活性種である鉄オキソ種の単離と反応解析も行ってきた。本研究では、カルボン酸の添加によって、過酸化水素の酸素―酸素結合の開裂が誘起され、鉄オキソ種の生成が促進されることを基質酸化および吸収スペクトル変化より確認することに成功した。さらに、カルボン酸を有する炭化水素を基質として用いた場合には、カルボン酸部位が配向基として働くために、位置特異的な酸化反応が進行することも見いだした。種々のカルボン酸を用いてアルカン酸化の選択性を評価した結果、立体障害の大きなカルボン酸を用いた場合、選択性を低下させずに触媒回転数が向上することを見いだした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chem. Lett.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1246/cl.170354
Peptide Science 2016
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Chem. Eur. J.
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