• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

構造・電子状態の同時計測に基づく生体系感応性化学種の反応機構解析

公募研究

研究領域感応性化学種が拓く新物質科学
研究課題/領域番号 15H00965
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

當舎 武彦  国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 専任研究員 (00548993)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード生体分子分光 / 時間分解計測 / 金属タンパク質 / 酵素反応機構
研究実績の概要

可溶性一酸化窒素還元酵素(P450nor)の反応機構を理解するために、前年度に構築した紫外光照射により一酸化窒素(NO)を定量的に放出するケージドNOを用いた反応系を利用し、P450norの結晶試料中でのNO還元反応(2NO + NADH + H+ →N2O + H2O + NAD+)の観測を試みた。そのために、P450norの結晶試料にケージドNOとNADHを浸潤させ、紫外光照射により反応を開始させた。これまでに開発したきた結晶試料に適用可能な時間分解可視吸収計測装置を用い、P450nor結晶試料での酵素反応を追跡した結果、溶液試料の場合と同様に、活性部位のヘムが鉄3価の休止状態に、NOが結合したNO結合型、NO結合型がNADHにより二電子還元された中間体を経て、酵素反応が進行することがわかった。しかし、NO結合型および中間体の生成速度は、溶液試料の場合と比べて、結晶試料では2から3桁程度遅くなっていることが判明した。これらの情報を基盤に、X線自由電子レーザー施設SACLAを利用した時間分解X線結晶構造解析によって、P450norの反応途中にみられる化学種の構造解析に取り組んだ。SACLAでの構造解析には、微結晶を送液し、X線照射部位にフレッシュな結晶を供給するシリアルフェムト秒X線結晶構造解析(SFX)を用い、ケージドNOを利用した光駆動反応系と組み合わせることで、時間分解構造解析を行った。その結果、P450norの酵素反応における最初のステップであるNO結合型の構造を室温条件で決定することができた。また、NO結合型の次にみられる中間体は、結晶中において秒のオーダーの寿命をもつため、紫外光照射による反応開始後数秒の間に、結晶試料を凍結させることで、中間体を補足することができた。現在、補足した中間体の構造解析に取り組んでいるところである。中間体の構造が明らかになれば、P450norの反応機構を立体構造を基盤に理解することができる。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Stockholm University(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Stockholm University
  • [国際共同研究] University of Liverpool(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Liverpool
  • [学会発表] Time-resolved spectroscopic analysis of the key intermediate in the enzymatic NO reduction2016

    • 著者名/発表者名
      T. Tosha, T. Kimura, H. Takeda, S. Ishii, Y. Shiro and M. Kubo
    • 学会等名
      感応性化学種が拓く新物質科学The 4th International Symposium for Young Chemists
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2016-12-12 – 2016-12-13
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] X線結晶構造解析とラマン分光の統合的利用による酵素活性中心の構造解析2016

    • 著者名/発表者名
      當舎武彦
    • 学会等名
      SPring-8シンポジウム・放射光赤外研究会サテライトミーティング
    • 発表場所
      関西学院大学三田キャンパス
    • 年月日
      2016-08-30
    • 招待講演
  • [学会発表] Structural basis for effective nitric oxide decomposition in microbial denitrification2016

    • 著者名/発表者名
      T. Tosha, E. Terasaka, K. Matsumoto, H. Sugimoto and Y. Shiro
    • 学会等名
      The 30th anniversary symposium of the protein society
    • 発表場所
      Baltimore, USA
    • 年月日
      2016-07-16 – 2016-07-19
    • 国際学会
  • [学会発表] 脱窒酵素複合体形成による効率的な一酸化窒素分解の分子機構2016

    • 著者名/発表者名
      當舎武彦,寺坂瑛里奈,松本喜慎,杉本宏,城宜嗣
    • 学会等名
      26回金属の関与する生体関連反応シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-18
  • [図書] Metalloenzymes in Denitrification: Applications and Environmental Impacts2016

    • 著者名/発表者名
      Takehiko Tosha and Yoshitsugu Shiro
    • 総ページ数
      27
    • 出版者
      Royal Society of Chemistry

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi