本研究では、雨や風の地上観測データをはじめ、レーダーや、乾性沈着の推定に用いられるとの報告のある大気電場データ等申請者らが集めてきたデータベースを基に、福島県を中心として関東から東北地方の、2011年3月の気象条件・地表面状態(積雪の有無等)を明らかにすることを目的とした。 各種レーダー(降水3次元構造)については、すでに画像を公開し、日本語で説明文書を記載した。現在英語化を行っている。大気電場データ等について、研究協力者(海外)を訪問し意見交換の後、衛星データ解析を含めて研究をすすめた。現在静止気象衛星MTSATにより雲・霧の変化も調査中である。 APHRODITEプロジェクトによりすでに作成した雨雪判別について、2011年の日本域データに適用した。降雪時の降水量の定量評価には捕捉率補正が必要なため、これを適用した。気象庁以外の降水量観測点データの追加も試みたが、微雨の観測状況や捕捉補正に必要な測器タイプや設置状況、風速などの情報が不十分なため、データの一般公開までには検証時間を要する。時別値も計算し、気象庁レーダーアメダスとの比較を行った。 AGUは初の福島セッションで口頭発表を行い、多くの関心を集めた。また協力者がEGUで発表された折、フランスISRNチームが当該研究に強い関心を持ちコンタクトがあったので、2016年横浜での会議の折打ち合わせ、8月にはISRNを訪問し、湿性沈着過程について、双方の持ちうるデータにより意見交換した。 また計画班(大気2班)の協力者として、意見交換のほか現地調査にも参加した。本研究計画の一つである調査地を選定し、モデル間で拡散移行過程に差異がみられる、中通やホットスポットのみられる中・高線量地域については、トンネル付近や建造物の壁面、比較的小規模な谷の両側のサンプルを取得した。現在資料整理中である。
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