福島第一原発事故に関わる放射線測定データを広く相互に利用可能とし、さらに将来へのアーカイブとするために、放射線測定データのメタデータ収集とメタデータベース作成、検索システム構築を行った。この検索システム(RADARC311)は、測定データの測定日時、地点、測定量などから測定データの公開元を検索できるメタデータ検索システムで、IUGONETのシステムを転用した水平展開事業となっている。本研究の公募元である新学術領域「福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学際的研究(ISET-R)」での成果についてもメタデータ情報を収集するため、メタデータ情報収集サイトを立ち上げ収集作業の効率化を図る整備を行った。収集されたメタデータは、初期被曝推定に特に重要な原発事故当初の2011年の測定データに焦点を絞り、ネット上データ260件、学術関係者へのアンケート調査39件、ISET-R関係研究者所持データ146件、総測定地点数は約27000点である。さらに、これら蓄積された測定データを初期被曝推定に生かせるように、関係者と議論を継続的に行った。 放射線測定データの持つ地域性を鑑み、本RADARC311を福島大環境放射能研究所へ移管して公開するための議論を関係者と進め、1年後の一般公開を目標として福島大内でのデータベース公開規定や個人情報保護規定など規約の整備などを行った。本研究は、学術会議総合工学委員会原子力事故対応分科会原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会「東京電力福島第一原子力発電所事故に関連する放射線・放射能測定データアーカイブズワーキンググループ」の活動の一環としても行われた。
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