今後の研究の推進方策 |
長鎖アルキル鎖は、アルキル鎖間でスタッキングにより配向するため、分子の配列化を促進するには有効である。しかし、これまでに合成されたPillar[5,6]areneでは、アルキル鎖の長さが十分ではなく、Pillar[5,6]areneの分子配向を促進するには十分な長さを有してはいなかった。そこで、分子配向を促進させるために十分な長さの長鎖アルキル基をエーテル化により導入する。アルキル鎖長により、Pillar[5,6]areneのシート間距離をチューニングできると予測される。またアルキル鎖長を伸ばすのみでは、Pillar[5,6]areneが十分に配列しなかった場合、アルキル鎖数を増やすために、液晶性を示す官能基である多数のアルキル鎖を有するトリアルコキシフェニル基を導入する。それでもは配向しない場合は、アルキル鎖末端にフッ素基の導入を行う。フッ素は自由エネルギーが小さいため、フッ素部位が表面へと集まることにより、Pillar[5,6]arene層との相分離構造を誘発しやすくなる。その結果、Pillar[5,6]areneの2次元スタッキングが促進されると期待される。また他の手法として、アミド基・ウレア基をアルキル鎖長中に組み込むことにより、多重分子内・分子間水素結合によりアルキル鎖間のスタッキング能力を高める。これにより、Pillar[5,6]areneの2次元スタッキングの促進・安定化が期待される。これらバルクの特性をDSC、AFM、SEM、TEM、小角・広角X線粉末回析により評価する。
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