現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)の圧力応答特性について詳細に検討を行ない、他に類を見ない特異な圧力応答特性を明らかにし論文発表を行なうことができた(Chem. Commun., 2015, 51, 11182)。また、π電子系ユニット連結構造に基づいた剛直ならせん骨格を活かした不斉増幅型触媒の開発についても順調に研究が進展し、論文発表によって大きな反響を得ることができた(Angew. Chem., Int. Ed, 2015, 54, 9333)。現在既に、π電子系ユニットの特性を活かした高効率発光性ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)の合成に成功しており、特許化の手続きを進めている。また、本学術領域内の共同研究(金沢大学生越グループ)によって、キラル環状化合物の溶媒依存性らせん反転を見出しており、溶媒依存性キラリティ反転がポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)類に特有の特殊な現象ではなく、キラルフレームワーク全般に適用可能な普遍的な現象であることを示唆する結果を得ている。以上より、本研究は当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、引き続きポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)類の高圧力応答挙動の解析に加えて、領域内共同研究によって供された種々のキラル分子の応答についても評価を進める。また、高効率発光性ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)の円偏光蛍光特性とそのスイッチングについて、研究を進める予定である。また、研究計画書に提案した通り、ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)のシークエンス制御による光学特性のチューニングについて研究を進める。また、金沢大学生越グループとの共同研究については、キラルピラーアレーン類の溶媒依存性キラリティ反転における計算科学的な解析と、単結晶X線構造解析を組み合わせた、原理の解明を進める予定である。
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