研究領域 | π造形科学: 電子と構造のダイナミズム制御による新機能創出 |
研究課題/領域番号 |
15H00996
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (10272709)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケイ素 / 触媒 / 環ひずみ / 交差カップリング |
研究実績の概要 |
パラジウム触媒を用いて、ジベンゾシロール誘導体と1,2-ジブロモベンゼンもしくは1,2-ジヨードベンゼンとの二重交差カップリング反応を検討した。ケイ素置換基として、シラシクロブチレン基を用いた場合、ジヨードベンゼンとの反応では、触媒前駆体として酢酸パラジウム5モルパーセント、配位子としてBrettphos20モルパーセント、添加剤としてフッ化セシウム4当量、溶媒としてDMFを用いて反応温度を140℃にすると、目的とするトリフェニレンが収率33%で得られることがわかった。この系ではシラシクロブチレン基の開環重合が副反応として起こっていることが推測されたので、次にケイ素置換基をシラシクロブチレン基よりも環ひずみの小さいシラシクロペンチレン基に代えたシラフルオレン誘導体を調製し、これとジヨードベンゼンとの反応を行ったところ、触媒前駆体として酢酸パラジウム5モルパーセント、配位子としてdppf 10モルパーセント、添加剤としてフッ化カリウム3当量、溶媒としてDMFを用いて反応温度を150℃にすると、生成物の収率が46%に向上することがわかった。なお、この場合にも開環重合の併発が認められた。さらに、ピナコールをケイ素上置換基とするシラフルオレンとジブロモベンゼンとのカップリングは、触媒前駆体としてBrettPhosPd G3 5モルパーセント、添加剤としてフッ化セシウム5当量、溶媒にTHFを用いて反応液を60℃に加熱すると、トリフェニレンが収率32%で生成した。収率は先の例よりも低下したが、この場合には開環重合の併発を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケイ素上置換基としてピナコールを用いると副反応が抑制される傾向があることを見つけ、ケイ素上置換基としてアルコールを利用することが有望であると判断される。そのため、アルコキシ基置換シラフルオレン誘導体の調製とその安定性や取扱条件を精査する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
ケイ素上のアルコキシ基置換基のスクリーニングを進めて、安定性、取扱性に優れるシラフルオレン誘導体を見つけ、それを利用して二重交差カップリングを検討していく。また、捩れたパイ共役系を精密に合成してその機能開発を進めるために、基質の安定性や開環重合に関する懸念がより少ない環状スズ化合物の二重交差カップリングを並行して検討する。
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