公募研究
広い意味でπ共役分子・集合体の電子機能 (Intrinsic-π機能)と構造的な歪みなどに伴う運動性 (Dynamic-π機能) を融合させた電子励起状態制御を目的として研究展開を行った。1.発光性ヘリセン誘導体の合成と円偏光発光特性: ヘリセンは芳香環が螺旋状に縮環した異方性を示す分子であり、円偏光発光 (CPL) 材料への応用が期待される。しかしながら、一般に蛍光量子収率 (φFL) が極めて低く、その向上が課題である。ヘリセン骨格に電子アクセプター性のキノキサリンやイミド基を縮環した誘導体を新規に合成し、蛍光量子収率の大幅な向上と円偏光発光の発現に成功した。2.ヘリセン誘導体を発光層とする有機ELの作製と評価: 上述のように、ヘリセンは一般に発光量子収率が極めて低く、発光デバイスに不向きであるが、円偏光発光 (CPL)デバイスへの実現には有用な有機材料である。本研究では非対称アルキル化したキノキサリンを縮環した[7]ヘリセンを合成し、その均一溶液中でのCPL特性を明らかにした。また、薄膜状態でのELスペクトルの観測にも成功した。3.特異な光物理過程を示すπ共役系分子の物性評価: 当研究室ではピコ秒およびナノ秒の時間分解分光装置および近赤外分光を用いた様々な励起ダイナミクス評価を行っている。特に、分子の平面性や対称性、ヘテロ元素の有無などが速度論として励起状態ダイナミクスにどのように影響するか検討を行っている。これまでに領域内の10グループと共同研究を行ってきた。例えば、レア1,4-ビス(ベンゾイル)-2,5-ビス(シロキシ)ベンゼンは結晶状態において緑色リン光を非常に効率よく示し(λ = 513 nm、φ = 0.63)、さらにその発光寿命が極めて長い(τ = 96.2 ms)ことを明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
J. Phys. Chem. C
巻: 120 ページ: 7421-7427
DOI: 10.1021/acs.jpcc.6b01123
巻: 120 ページ: 7860-7869
DOI: 10.1021/acs.jpcc.6b01344
Org. Biomol. Chem.
巻: 14 ページ: 6738-6743
DOI: 10.1039/C6OB00937A