公募研究
鉄系超伝導体Ca1-xPrxFe2As2において、蛍光X線ホログラフィーの実験を行った。Ca1-xPrxFe2As2は、ThCr2Si2型超伝導体の中で最も高い49 Kの超伝導転移温度を示す一方、超伝導体積分率が僅か数%の化合物である。STM/STSの実験では、Pr原子の周りでのみ超伝導ギャップが観測されている。本研究では、この化合物がPr原子の周りでのみ高温超伝導を発現する原因を明らかにするため、SPring-8のBL13XUにおいて蛍光X線ホログラフィーの実験を行い、Caの周りとPrの周りの局所構造を3次元的に可視化して比較した。昨年度、S/Nが悪いながらも原子像を再生することに成功していたが、データの精度が低く詳細な解析を行うことができなかった。一方、今年度は、検出器周りの条件を最適化し、精度の高い実験に成功した。その結果、Prを含まない母物質において、Caの周りのAs位置が著しく揺らいでいることを見出した。さらに、Prを10%ドープした試料において、Prの周りでは、母物質と比べてAs位置の揺らぎにほとんど変化がなく、一方、Caの周りでは、母物質と比べてAs位置の揺らぎに著しい増大が生じていることを見出した。これらの結果は、超伝導転移温度49 Kの超伝導がPrの周りでのみ局所的に発現することと矛盾しない。本研究の結果は、As位置の揺らぎと高温超伝導発現の間に密接な関係があることを示唆する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
研究課題名:ドープ原子ホログラフィーによる高臨界温度鉄系超伝導体の設計と創成http://soran.cc.okayama-u.ac.jp/view?l=ja&u=ce0bea3fbe26c80274506e4da22f6611&n=工藤&sm=name&sl=ja&sp=1
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Journal of the Physical Society of Japan
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10.7566/JPSJ.86.025002
巻: 86 ページ: 035001 (1-2)
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Physical Review B
巻: 93 ページ: 134109 (1-6)
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10.1103/PhysRevB.93.140505
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 27646 (1-8)
10.1038/srep27646