公募研究
当該年度では、まず一部の残基がD-アミノ酸となった場合の[GADV]-タンパク質の立体構造について、MDシミュレーションによって推定した。D-アミノ酸の出現確率が50%の場合に加え、確率が25%、12.5%の場合についても計算を行った。これらの検討の結果、D-アミノ酸の含まれる割合が高くなればなるほどアミノ酸鎖が二次構造を形成する頻度が下がる傾向にあることが示された。この結果は、「アミノ酸がラセミ体で存在する環境」と「アミノ酸の一方の光学異性体が多い環境」では後者のほうが何らかの構造をもったタンパク質を構築しやすいことを示唆しており、この立体構造形成能の違いが一種の淘汰圧として働いて、生体におけるホモキラリティの起源となった可能性が考えられる。また、タンパク質中におけるアミノ酸の立体反転機構について、量子化学計算を用いて明らかにした。どのような環境下でアミノ酸の立体反転が起こるのか、その立体障壁はどのくらいかを量子化学計算によって求めた。その結果、水分子やリン酸イオンなどが立体反転の触媒となり得ることや、反転することがよく知られているアスパラギン酸のみならずグルタミン酸も反転する可能性があることなどが示唆された。さらに[GADV]-タンパク質以外にも、バリンの代わりにセリン (S) を含めた[GADS]-ペプチドの立体構造についてもMDシミュレーションを用いた解析を行っている。疎水性残基が多いペプチドほど二次構造をとる傾向が高いことは事前に想定できたため、溶媒接触可能表面積や極性表面積を用いて、水溶性と立体構造とのバランスを評価した。これらについてはおおむね加えた残基の性質に応じて立体構造形成能や表面積が増加・減少する傾向にあった。また、既知タンパク質(酵素)の一部のアミノ酸を変異させる研究も行っており、おおむね実験的に得られた酵素活性を再現する結果が得られた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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