研究領域 | 冥王代生命学の創成 |
研究課題/領域番号 |
15H01070
|
研究機関 | 公益財団法人国際科学振興財団 |
研究代表者 |
岡田 典弘 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, その他 (60132982)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | CTCF / LAD / ボーダー / tRNA / insulator |
研究実績の概要 |
今年度から新しく研究を開始したが、三つの大きな発見があった。 1)シーラカンスのゲノム中に存在するSINEのほとんどは、CTCF結合サイトを持っている。まず手始めにすでにゲノム構造が明らかにされているシーラカンスを用いてそのSINEの配列の中にCTCF結合サイトが存在するかどうか調べたところ、殆どのSINEのコンセンサス配列に典型的なCTCF結合サイトが存在することが示された。これは、SINEの生き残り戦略であると考えられる。 2)ヒトゲノム中のLAD (Lamine associated domain)の境界には、CTCF結合サイトが存在するが、反復配列由来のCTCF結合サイトが数多く見出された。我々はバイオインフォーマティックスの手法を用いて、ヒトゲノムから17万の全CTCF結合サイトを抽出した。その中で反復配列と20塩基以上重なって存在するサイトを抽出したところ、8万サイト得られた。 3)tRNA遺伝子のゲノム上でのLADに対する相対的位置を調べたところ、境界に多くのtRNAが集まっていることが発見された。またtRNA遺伝子の近傍には多くの場合にCTCFが共存することが発見された。これはtRNA遺伝子の新しい機能として極めて興味深いものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初はレトロポゾンとSINEの間に関連があるであろうという示唆の論文を基に研究を開始したが、成果は大きく、思いもかけない発展が見られた。上述したが、シーラカンスのゲノム中に存在するほとんどのSINEにCTCFの結合領域があることは、SINEの生き残り戦略以外には考えられない。これはSINEと転写因子に関する新しいものの見方である。また、tRNA遺伝子の中にCTCF結合サイトがあるということは予想だにしなかった。現在論文を作ろうとしているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
ボーダーにレトロポゾンが多いということも面白い発見である。このボーダーに存在するレトロポゾンの内訳を現在調べているところである。レトロポゾンには若いものと古いものに分類することができるが、ボーダーに存在するレトロポゾンが古いものに偏っているというような傾向が存在するか否かを調べる予定である。
|