研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
15H01101
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 康一 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (70400299)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像 / 医用画像解析 / 脳画像解析 / 脳MRI / 脳ネットワーク / 年齢推定 |
研究実績の概要 |
本年度は,以下の2項目を実施した. 1. 高精度な脳画像解析を行うために必要となる局所特徴を新たに定義した.コンピュータビジョンなどの分野でよく用いられているようにキーポイントを抽出して特徴量を定義するのではなく,解剖学に基づいて定義された脳アトラスによって分割された領域ごとに特徴量を定義した.このことにより,どの位置にある局所領域の特徴量が解析に有効であるかを解剖学の観点から説明することが可能となる.灰白質,白質,脳脊髄液の正規化された体積値を特徴量として用いることを検討した. 2. 前項1で検討した局所特徴を用いた脳MRI画像の解析手法を検討した.今年度は,特に,年齢に着目し,脳MRI画像から被験者の年齢を推定する解析手法を検討した.脳MRI画像に内在する性別,年齢,生活習慣などの因子が独立に形態変化に作用していることを利用し,線形回帰分析を用いて各因子を分離した.そして,局所特徴に基づいて,年齢を推定する識別器を構築した.健常者の大規模なデータベースを用いた性能評価実験を行って,従来手法と比較して高精度に年齢を推定できることを実証した.年齢推定において貢献度の高い局所領域を抽出し,統計解析の結果および医師の所見と比較した.貢献度が高かった局所領域は,正常加齢に伴って形態変化が大きい部位であり,医学的にも妥当な領域が選択されていた.また,脳疾患患者,特に,アルツハイマー病患者のデータベースを用いた実験を通して,年齢推定手法を利用した脳疾患の診断支援への可能性を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通りに,脳MRI画像を解析するために必要となる局所特徴を定義するとともに,それを用いた解析手法について検討した.特に,正常加齢に伴った形態変化に基づいた年齢推定手法を検討し,4.5歳程度の誤差で年齢を推定できることを確認した.以上より,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度の研究成果を踏まえて,年齢推定手法に基づいた脳疾患の診断支援を検討する.また,脳局所特徴を用いた解析手法を発展させるために,脳の形態変化に関するモデルの構築,および,脳ネットワークの構築することを検討する予定である.
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