研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
15H01105
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大西 峻 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (30706833)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像位置合わせ / 病理画像 / MR画像 |
研究実績の概要 |
マルチスケール解析を目的としたMR画像と病理画像の高精度位置合わせ手法の構築が本研究課題の目的である.平成27年度は病理画像,MR画像および位置合わせの仲介に用いる組織光学像の収集プロトコルの検討と,撮影補助用の各種器具の作製を行った. 作製した代表的な器具として対象臓器切断用器具が挙げられる.通常の簡易的な切断装置では切断面が湾曲してしまい,画像位置合わせに適さない状態になっていた.切断面が安定的に平面となるような切断装置の開発を行った.定量評価が行えていないものの,従来の切断装置と比較して湾曲やブレ,欠損の少ない切断が行えるようになった. MR画像に対しては共同研究先の協力のもと7.0T MRスキャナを用いた画像収集が可能となった.また,シーケンスやそのパラメータの検討を行い,アーチファクトが少なく,高解像度な画像が得られた.組織光学像においては照明光の選定など,位置合わせ手法の簡易化・高精度化に向けた改良を行った.また,組織を撮影する際に映り込む壁面の情報が位置合わせにおいて精度低下の要因になる.ラインレーザを用いた高さ推定手法を導入することで,壁面除去を行った.病理画像に対してはMR画像などと直接比較しやすいサイズにダウンスケールするとともに,組織情報に基づいた画像コントラストの改善手法についても検討を行った. また,上記3種類の画像の位置を合わせるための手法の構築も行った.依然としてわずかなミスマッチは発生するものの,良好な位置合わせ結果が得られている.次年度ではこの位置合わせ手法の改良が課題となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土台となる画像収集プロトコルについてはほぼ整備済みで,継続的かつ安定的に画像の調達が行えるようになった.データ取得の効率は高くないためデータ数に関しては少数にとどまっている.統計的かつ定量的評価を実施するためにはデータ数確保が課題となる. 本来の目的である画像位置合わせ手法についても基礎技術の構築が終了しており,高精度化に向けた調整を残すのみである.しかしながら,誤差発生に対する要因の特定が不十分であることから,詳細な解析や考察が望まれる.また,位置合わせの処理は計算コストが膨大であることから,全体の処理効率は悪い.GPUを導入するなど,処理効率の改善が望まれる.
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今後の研究の推進方策 |
多くの画像データを収集し,精度評価と改良を繰り返し行う.特に現状ではデータ数が少ないことから,データ収集の効率化が課題となる.データ収集プロトコルをマニュアル化し,定期的なデータ収集が可能となる環境整備が急務となる. 手法構築については順調に進行しており,今後も継続して進める.精度評価についてはその方法論を含め,専門医の協力を仰ぐなどして検討を行い,実施する.上記の作業の半数はルーチンワークとなることから,環境整備を行い効率的に成果を出すための工夫を加える.特に画像処理に時間がかかるため,GPUを用いた並列コンピューティングの導入や,計算アルゴリズムの検討などを行い,処理効率を高める.
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