研究実績の概要 |
われわれの研究室にこれまでに行ってきたヒト器官形成期の器官(脳、肝臓等)の3次元解析で得た経験を活かし、分枝を持つ器官の解析を開始した。具体的には、受精後8週までの胚子で、肺(気管支)、腎盂(腎臓)、頭部の血管など発生途上で分枝構造が観察できるものである。解析するデジタル画像としては、各器官の特性を考え、MRI,位相CT画像,組織像のうちいずれか、あるいはいくつかの組み合わせを選択した。まず、気管支の解析を先行して行った。二次元画像を用い、対象器官から形態を描出し、3次元画像を作成し、器官発生の定量、可視化を行った。気管支について、CS14-CS21まで約20例の3次元立体化が完了した。これまでの報告(Metzger et al, Nature2008)と、比較検討をおこなった。最終的なマウスとヒトの肺の形は異なっているにもかかわらず、CS14~19の気管支の分岐パターンに変化がみられなかった。したがって今回の観察したステージ以降の分岐パターンあるいは分岐の組み合わせが異なっている可能性があると考えられる。また、ヒトの気管支では、Orthogonal bifurcationの回転が90°、45°くらいのものが混在した。これらの回転角度が異なる分岐はOrthogonal bifurcationのサブタイプであると考える必要がある。ヒトの気管支の分岐パターンはCS20以降ではマウスとは異なる可能性があり、今後さらなる検討を要する。
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