研究実績の概要 |
【H27年度】人体の構造と触感を融合した多元的計算解剖モデルの確立を目的に、医用画像情報からの臓器の構造と経時的変化, および臓器の物体特性(軟らかさ, 湿潤, 変形)の質感情報から人体機能を理数的に解析し統計数理的モデルを構築した. 計算解剖モデルの直感性とユーザビリティの向上のため, CAD・CAM技術と3D造形成形技術にて形状と機能を同時に可視化・可触化し, 誰でも容易に理解できるような視覚と触覚を融合した分野横断的な多元モデル(将来手術支援加算可能な臓器立体モデルとシミュレータ)を創出した. その成果として各種臓器立体モデルおよび腹腔シミュレータを造形した. さらに診断治療手技を動作解析するため3Dスキャナ三次元計測装置を購入し, 手術中の実時間臓器形状データを実臨床で計測した. 計測のための初期設定と手技確立へのプロセスの検討を行った. これらの成果を国内外の学術的学会および学術論文にて報告した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
視覚と触覚を融合した臓器立体モデルとシミュレータとして, 各種臓器立体モデルおよび腹腔シミュレータを比較的早期に造形でき, 手術支援及び訓練に有用であることが証明でき、これらの成果を国内外の学術的学会および学術論文にて報告できたので, 次年度予定であった診断治療手技を動作解析するための三次元的立体計測との比較へと進めた. 3Dスキャナ三次元計測装置を購入し, 手術中の実時間臓器形状データを実臨床で計測できた. これは次年度以降での計測のための初期設定と手技確立へのプロセスの検討を早期に開始できる意義で計画以上の進展であったといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
【H28年度】手技動作解析と多元的計算解剖モデルの融合と, 高度知能化治療支援システムの確立をおこなう. 前年度の結果を実験的・臨床的に評価するため,三次元計測装置3Dスキャナを手術中に用い,実臨床での人体解剖位置情報と臓器変形をリアルタイムに測定しながら治療手技を実施し, 挙動変化とビデオ映像を画像認証し, 術前情報と術中の三次元的比較を検証する. その際の手技プロセス, 手技の難易度, 機器使用の適切さ, モデルの改良点を評価し最適な治療支援システムを確立する. 生体動物実験でも多元解剖モデルと生体質感造形モデルを比較し,支援の精度評価を行う. 医療支援技術のプロセス分析と各種支援技術の評価をふまえ, 視覚と触覚を融合した高度知能化治療支援システムを確立する. これを低侵襲手術・内視鏡手術に応用し, シミュレーションと手技トレーニング・医学教育に利用できるシステムへ開発展開する. 研究推進のため多元計算解剖研究者との連携が不可欠であり, 生体医工学, 応用物理, 機械工学などの各分野の専門家との連携をはかりながらフィードバックしてゆく. 治療プロセスと支援技術を定量化し理論的に統合理解することで,分野横断的な実践的臨床アウトカム (将来手術支援加算可能な臓器立体モデルと手技習熟シミュレータなど)を創出し, 診断治療を安全・正確・低侵襲に実施しうる支援・教育システムを開拓し創出する迄を行う予定である.
|