研究実績の概要 |
本研究は、陽電子断層装置(PET)及びMRIを用いたアルツハイマー病(AD)の早期診断のための情報統合手法の構築を目的としているが、2015年度は、(1) アミロイドβ(Aβ)画像作成アルゴリズムの開発, (2) データベースの構築 (3) 多元データ取扱いのためのアルゴリズムの構築の3点を実施する予定であった。それぞれに対する現状は以下の通りである。
(1) Aβ蓄積量を定量画像化するために必要である、参照領域に自動設定アルゴリズム(AutoRef)、及びAβ画像の雑音低減アルゴリズム(CAKS)の開発を行った。AutoRefについては、86例の臨床画像を使用した性能評価を通してアルゴリズムをほぼ確定するに至り、その経過は、電子情報通信学会・医用画像研究会(11月, 奈良先端大; 1月, 那覇)で発表すると共に、PETについては世界的に最も権威のある米国核医学会(SNM, 6月, 米国サンディエゴ)で口頭発表することが決まっている。CAKSについては、Aβ画像の撮像で使用されるアミロイドプローブの体内での動態に対する可用性を検討し、十分な性能を有することを確認し得た。以上から、本研究で重要となるAβ蓄積に関する定量画像の生成の見通しを確立することが出来た。 (2) 本研究の遂行に当っては、アルゴリズムの性能評価や改善点の明確化に使用するために、医師による診断情報を伴う臨床画像の確保が重要であるが、2施設から200例の提供を受けることが出来たことから、本課題の遂行に当って十分な例数を確保した。 (3) 機械学習的なアプローチについて調査を行い、アルゴリズム毎の可用性を検討した。
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