研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
15H01133
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
原口 亮 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 情報統括部, 室長 (00393215)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生体医工学 / 心臓 / 医用画像 / 先天性心疾患 |
研究実績の概要 |
ホルマリン固定された心臓病理解剖検体を3次元画像データ化するためのMRI撮像手法およびセグメンテーション手法の確立を行った. MRI撮像手法について,MPRAGE, T2-SPACE, FLASH, True-FISP の4種類の撮影シークエンスでの画質を比較した.MPR像上で血管壁と血管内腔,心室壁と心室内腔とのコントラストを比較したところ,MPRAGEが最も良好であった.強いT1強調により検体と検体周囲の生理食塩水との良好なコントラストが得られたと考えられる.一方T2強調であるT2-SPACEやTrue-FISPの場合,検体中の水がホルマリンで置換されたことによりMR信号が弱まってコントラストが低下したと考えられる.以上の検討結果に基づき,先天性心疾患を有する検体を含む7検体の3次元画像データ化を行った. セグメンテーションについて,先天性心疾患の病態理解には血流の把握が重要であることから,心筋部分の部位別(心房・心室など)の抽出に加えて,血液のとおりみちである内腔部分を対象に抽出することとした.セグメンテーションには理化学研究所で開発されたソフトウェアVoTracerを用いて用手的に行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画のうち,ホルマリン固定された心臓病理検体のMRI撮像手法については,計画どおり進捗し,先天性心疾患を有する検体を含む7検体の撮像を行うことができた. セグメンテーションについては研究実施計画段階から全自動セグメンテーションは困難と予想されていたが,理化学研究所で開発され研究目的で無償で使用できる VoTracer を用いて,用手的ながら効率的にセグメンテーションを行うことができることを確認できている. 以上のことから達成度は「おおむね順調に進展している」と評価する.
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今後の研究の推進方策 |
今後とも引き続き検体のMRI撮影・セグメンテーションを行うとともに,循環動態のグラフ表現に向けた検討を行う.文献調査による先天性心疾患病態のグラフ表現,ボリュームデータからのトポロジー抽出方法の検討といった取り組みを計画している.3Dプリンターの普及に伴い,3次元データのインターネット上での共有化が急速に進んでおり,心臓含む医療3次元データについても同様である.研究成果の公開にあたっては,3次元データそのものの共有化についても検討を行う計画である.
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