研究領域 | 地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー |
研究課題/領域番号 |
15H01134
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 浩晃 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30301930)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地殻深部低周波地震 / 地震活動 / 地殻流体 / 火山活動 / 活断層 |
研究実績の概要 |
「深部低周波地震カタログ」の作成を開始した.1997年以降2015年までの気象庁一元化震源リストにあるLFフラッグのついているイベントから南海トラフの沈み込みに関係する活動を取り除くプログラムを作成し約1.7万個の深部低周波イベントを抽出した.この数は事前の予想よりもかなり多く,カタログ作成に多くの時間が必要となることが考えられる.最大Mのイベントは北海道銭亀クラスタの2.3,b値はMによって変化するが概ね1.6で全国での年間発生数は1000個前後である.深さは概ね15-40kmであり最深の活動は富士山クラスタなどの深さ50㎞前後であった.数が多いのは富士山と雌阿寒岳でこの2つで日本全体の発生数の2割を占めることが明らかになった.このうち雌阿寒岳クラスタでは2016年1月から活動が活発化しており3か月で400個以上を記録している.クラスターは第4紀火山直下が多いが,それ以外の場所でも発生がみられる.第4紀火山でも活動が見られない場所もある.東北地方および北海道南部では,クラスタがトレンチに直行する東西方向に並ぶ傾向も見られた.焼岳から北アルプスを経て妙高に至る地域では震源が連続的に分布する.和歌山北部から大阪湾にかけても活動が見られる.これらの活動はクラスタ状の分布を示し,既存の活断層系との空間的な相関はあまりないように見える.日本全国の積算数でみると2011年東北地方太平洋沖地震を境にして発生数が減少しているように見える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地震の数が当初想定よりも大幅に多いことが判明したため処理に時間が必要となり今年度は全国的な活動の特徴をまとめるに留まっている.今後,より効率的な解析手法の再検討が求められるとともに,特定の活動域をいくつか選択して重点的に調査することも検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
活動クラスタごとの基本的なパラメータ(深さ分布・b値・積算曲線の特徴等)を優先的に調査する.波形については,イベントの数が多いことから,特定の活動域について重点的に調査を実施する.比抵抗構造などの地下構造データとの比較を進め,深部低周波地震の3次元的な震源分布と構造との関連性について検討を行う.
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