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2016 年度 実績報告書

岩石ー水反応による地殻応力発生機構とその時間発展の解明

公募研究

研究領域地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー
研究課題/領域番号 15H01136
研究機関東北大学

研究代表者

宇野 正起  東北大学, 環境科学研究科, 助教 (50748150)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード反応誘起応力 / 反応誘起歪 / 岩石ー水反応 / 反応速度 / 塑性変形 / 反応表面積 / 反応誘起割れ
研究実績の概要

本年度は岩石ー水反応における反応誘起歪のモデル化をするために,多結晶体の反応誘起歪と反応速度,空隙閉塞の時系列変化を実験的に探索した.その結果,反応誘起歪の律速過程が明らかになり,反応誘起歪の時系列変化をモデル化することができた.
差応力下での反応誘起歪は,高差応力ほど反応誘起歪が抑制されることが観察された.この歪みー時間変化は,静水圧下での膨張と溶解沈殿クリープのたし合わせで表されることが分かった.一方,静水圧下での反応誘起歪は,反応速度に一定の比で比例することが観察され,反応誘起歪は反応速度に決定されることが分かった.
多結晶体の反応速度は,単結晶の反応速度より有意に遅いことが観察された.これは,反応ともなう空隙閉塞により,実効的な反応表面積が減少することで律速されていると考えられる.様々な初期空隙率のサンプルに対して実験を行うと,反応表面積ー空隙率に一定の関係が見出され,ある臨界空隙率で急激に反応表面積が減少することが明らかになった.
以上の結果から,反応表面積ー空隙率をシグモイド関数で表現することで,静水圧下での反応誘起歪・反応速度・空隙率の時系列変化をモデル化することができた.さらに,差応力化での反応誘起歪は,静水圧下での反応誘起歪みと溶解沈殿クリープのたし合わせでモデル化することができた.
以上より,吸水反応による岩石の力学挙動は,反応速度と変形速度の競合に支配されること,反応速度は反応表面積ー空隙率関係に支配されることが明らかになった.天然のマントルや地殻における吸水反応では,表面反応速度は非常に早く,反応表面への流体のアクセスが十分な系では,測地学的歪み速度より有意に早い反応誘起歪み速度が予測される.従って,マントル・地殻岩石における反応表面積ー空隙率関係が,岩石ー水反応時の力学挙動に重要である.

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 中新世後期白沢カルデラの噴出マグマの分化と現世の地熱流体貯留層2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木拓,宇野正起*,奥村聡,山田亮一,土屋範芳
    • 雑誌名

      日本地熱学会誌

      巻: 39 ページ: 25-37

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] メルト包有物から制約される古カルデラのマグマ溜まり深度と地殻流体活動: 東北日本,白沢カルデラの例2016

    • 著者名/発表者名
      宇野 正起,鈴木 拓,山田 亮一,奥村 聡,土屋 範芳
    • 学会等名
      日本地熱学会平成28年郡山大会
    • 発表場所
      郡山,郡山中央公民館
    • 年月日
      2016-10-19
  • [学会発表] 吸水反応による反応誘起応力・歪の支配要因:CaSO4-H2O系での実験的制約2016

    • 著者名/発表者名
      宇野 正起,増田 俊太郎,岡本 敦,土屋 範芳
    • 学会等名
      日本鉱物科学会2016年年会
    • 発表場所
      金沢,金沢大学
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] Controlling mechanisms of reaction-induced stress and strain during hydration reactions: Experimental investigation in CaSO4-H2O system2016

    • 著者名/発表者名
      Masaoki Uno, Shuntaro Masuda, Atsushi Okamoto, Noriyoshi Tsuchiya
    • 学会等名
      International Symposium Crustal Dynamics 2016
    • 発表場所
      Takayama community center, Takayama, Japan
    • 年月日
      2016-07-20
    • 国際学会
  • [学会発表] Controlling factors of reaction-induced stress and strain during hydration reactions: Experimental investigation in CaSO4-H2O system2016

    • 著者名/発表者名
      Masaoki Uno, Shuntaro Masuda, Atsushi Okamoto, Noriyoshi Tsuchiya
    • 学会等名
      2016 Goldschmidt conference
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama, Yokohama, Japan
    • 年月日
      2016-06-28
    • 国際学会
  • [学会発表] メルト包有物解析による古カルデラのマグマ溜まり深度と地殻流体活動の関連:東北日本,白沢カルデラの例2016

    • 著者名/発表者名
      宇野 正起,鈴木 拓,山田 亮一,奥村 聡,土屋 範芳
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2016年大会
    • 発表場所
      千葉,幕張メッセ
    • 年月日
      2016-05-25
  • [学会発表] 吸水反応における多結晶体の力学的応答-CaSO4-H2O系における反応誘起応力・歪の実験的研究-2016

    • 著者名/発表者名
      宇野 正起,増田 俊太郎,平野 伸夫,岡本 敦,土屋 範芳
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2016年大会
    • 発表場所
      千葉,幕張メッセ
    • 年月日
      2016-05-23

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公開日: 2018-01-16  

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