研究領域 | 地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー |
研究課題/領域番号 |
15H01137
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
廣内 大助 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50424916)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 河成段丘面 / 長波長変形 / テフラ / 第四紀後期 / 変位速度 / 庄川丘陵 / 東山丘陵 / TT法 |
研究実績の概要 |
本研究では主に河成段丘面の変形から褶曲や撓曲変形を含めた第四紀後期の地殻変動速度を明らかにする試みである。27年度は新潟県の五十嵐川周辺の庄川背斜ならびに刈谷田川周辺の東山背斜における隆起速度を求めた。調査はまず両背斜を横切り2つの河川に沿って発達する河成段丘面の対比と編年を行い、MIStageとの対応関係を明らかにした。さらに同一環境時期の段丘面比高から隆起量を算出するFs法ならびにTT法(吉山・柳田,1995)を用いて、背斜周辺を含めた丘陵域の隆起速度を算出した。その結果丘陵全域に渡って隆起傾向が認められることに加えて、特に庄川背斜、東山背斜では0.8mm/yrの隆起速度が明らかとなる一方、曲山向斜部では0.2mm/yr以下となり、新第三系~中部第四系に認められる地質構造に対応する形で、第四紀後期以降も同様の変形、すなわち背斜部では大きく隆起し、向斜部では隆起量が小さいという褶曲構造が成長する方向での地殻変動が認められることが明らかとなった。防災科学技術研究所(2010)などには、庄川背斜、東山背斜を横切る反射法地震探査結果が報告されており、庄川背斜はブラインドスラストのフラットランプ構造に対応し、また東山背斜はヴェッジスラストに対応する可能性が考えられ、両構造による丘陵の第四紀後期における形成速度(隆起速度)をまさに検出できたものと考えられる。28年度は高田平野東縁地域、保倉川流域における同様の調査を検討し、東頸城丘陵の隆起速度の解明を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では27年度に2地域において調査を実施したが、いずれの地域でもテフロクロノロジーを用いた高い精度での段丘面の対比編年に成功し、そこから高密度での隆起速度を割り出すことができた。これによって地質構造の背斜向斜と第四紀後期以降の変形速度の対応関係なども明らかにすることができ、島弧の短縮速度の解明に良好な情報を提供することができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は同様の調査手法を用いて、高田平野東縁から東頸城丘陵域の変形速度を高精度に明らかにすることをめざしていく。さらにここから算出された変形速度はより確かな永久変形速度と考えられることから、この値とGPSなどで観測される弾性変形を含んだ短縮速度を比較することで、地形・地質構造の形成やこれを含めた島弧の変形速度や様式の解明に迫れるものと考えている。
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