本研究では活構造によって隆起する丘陵を横切る河成段丘面の長波長変形に基づいて、丘陵全体の変形速度を求めることを目的とし、平成27年度には五十嵐川と刈谷田川流域において、分布する段丘面の対比・編年および、離水期以降の変形速度を明らかにした。その結果両丘陵は0.8~1mm/yearの極めて早い隆起速度であることを明らかにした。平成28年度は引き続き高田平野東縁断層と東頸木丘陵西部を横切る保倉川に分布する後期更新世の河成段丘面の対比・編年を行い、さらにこれらの長波長変形に基づいて、東頸木丘陵西部における変形速度を明らかにした。その結果、丘陵と平野の境界付近よりさらに東において、より高角度の断層が推定でき、さらに隆起速度も大きく約1.3mm/year程度の変形速度を持つことが明らかとなった。ここでは南西から連続する平野/丘陵境界の活断層延長部付近で変形速度が大きくなっており、東翼急傾斜部には向斜も認められ、その東では1.3mm/yaerの変形速度を有することが明らかとなった。五十嵐川や刈谷田川に沿っては、反射法地震探査によって地下構造が明らかであり、段丘面の変形と地下構造の比較ができた。一方保倉川沿岸では地震探査断面は断片的であったが、丘陵や高位段丘の地形などから地下構造を推定した上で、上記データの提示が可能となった。
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