公募研究
断層強度回復のメカニズムの一つに鉱物沈殿がある。断層破砕帯は比較的短い時間で鉱物によってシールされ、その強度を増していくと考えられるが、断層内部の鉱物の発達過程は未解明な部分が多い。本研究では、間隙流体シミュレーションと鉱物化モデリングを断層破砕帯に適用し、破砕帯内部の鉱物沈殿や、それに伴う断層強化(回復過程)を再現する。平成27年度に実施した研究は次の通りである。(1)天然のフラクチャーを含む岩石試料を取得した。本研究では、四国の中央構造線で取得された岩石試料と、延岡衝上断層の岩石コア試料を対象とすることとした。そのフラクチャーの形状を、マイクロフォーカスX-CTで抽出し、フラクチャーの3次元デジタルモデルを作成した。また、過去の研究で使用したフラクチャーモデルを使うこととした。(2)間隙流体シミュレーションを、3次元デジタル間隙モデルやフラクチャーモデルに適用するために、格子ボルツマン法(LBM)のプログラムコードの最適化を実施した。フラクチャーシステムを含んだ岩石モデルは巨大になるため、Graphics Processing Unitを用いた大規模計算を実施した。一方で、計算領域内でフラクチャー(間隙)が占める割合が小さいため、計算領域を間隙部(フラクチャー部)に制限することで、効率的に計算を実施した。(3)我々のグループが開発した鉱物化モデル(移流拡散方程式を解いて砂岩内部の鉱物化を再現するモデル)を拡張することで、断層破砕帯に対応した鉱物モデリング手法の開発を試みた。この研究は、平成28年度も継続する。(4)弾性波動シミュレーションを、開口したフラクチャーモデルと鉱物沈殿したフラクチャーモデルに適用し、鉱物化が、断層強度や弾性波速度に与える影響を評価した。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画通りに進んでいるが、鉱物化モデリングの部分が予想していたよりも難しく、平成27年度に終了しなかった(平成28年度も継続して実施する)。
平成28年度は、基本的に当初の研究計画に従って研究を進める。一方、(計画書には書いていないが)本研究で得られた断層強度の回復過程を、実際の地震活動(本震~余震)と比較することも試みることとした。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 4件、 招待講演 13件)
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