公募研究
断層の強度回復メカニズムを調べるため、断層のクラック閉鎖(鉱物化)による強度回復過程のモデリング(数値シミュレーション)と、実際の地震断層の強度回復過程の観測を行った。(1)断層の強度回復モデリングでは、マイクロフォーカスX-CTを用いて、天然のフラクチャーを含む岩石試料の3次元デジタルモデルを作成し、そのデジタルモデルに対して格子ボルツマン法(LBM)による間隙流体シミュレーションを実施した。フラクチャーシステムを含んだ岩石モデルは巨大になるため、Graphics Processing Unitを用いた大規模計算を実施した。その間隙流体挙動から、移流拡散方程式を用いた手法で、岩石内部の鉱物化をモデリングした。最後に弾性変形シミュレーションを、開口したフラクチャーモデルと鉱物沈殿したフラクチャーモデルに適用し、鉱物化によるフラクチャーの閉鎖が断層の強度や浸透率に与える影響を定量化した。その結果、クラックの閉鎖様式や鉱物化の種類によって、断層の強度回復や浸透率は大きく異なることが分かった。一方、流体挙動を考慮した鉱物化モデリングでは計算時間が長く実用的ではないので、ランダムウォークという確率論に基づく鉱物化モデリング手法の開発も行った。(2)実際の断層回復過程を調べるために、地震波干渉法を用いた手法により、2016年熊本地震の断層を伝わる弾性波速度(断層強度)の変化を調べた。その結果、地震発生時に、断層や火山周辺で弾性波速度の急激な低下がみられた。断層周辺の弾性波速度の低下は、断層周辺のダメージや間隙水圧が増加に伴うクラックの形成で説明できる。地震後は、弾性波速度が徐々に増加する傾向(断層の強度回復プロセス)を検出することができた。現在、この断層強度の回復プロセス(弾性波速度の回復プロセス)を、断層のモデリング結果(数値シミュレーション結果)と比較しながら解釈を行っている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (44件) (うち国際学会 27件、 招待講演 10件) 備考 (2件)
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