公募研究
腸管神経細胞の増加しているNcx KOマウスを用いて腸管バリア機構・腸管免疫・腸内細菌叢について解析した。Ncx KO マウスは一酸化窒素(NO)を産生する腸管神経が増加している。上皮細胞のE-カドヘリンの発現を調べたところKOマウスでは減少しておりまた、透過性も亢進していた。また、ニトロチロシン抗体により染色される上皮細胞が増加していた。nNOSの阻害剤を投与したところカドヘリンの発現は正常に回復したことより腸管神経より出るNOにより上皮細胞障害が起きていることが示唆された。次に腸内細菌叢について糞便培養、16SrRNA解析およびメタゲノム解析を行った。培養法では通性嫌気性菌がKOマウスで野生型の10~100倍に増加、16SrRNAおよびメタゲノム解析で腸内細菌科の細菌が増加していることが明らかになった。さらにKOマウスでは一酸化窒素還元酵素であるNitric oxide reductase (NORV)遺伝子を持つ菌が増加していた。NORV陽性細菌はNOによる殺菌作用から逃れるため病原性が高いと言われている。そこで野生型マウスに野生型およびKOマウスの糞便をそれぞれ移植しDSS腸炎を誘導したところKOマウス糞便を移植したマウスにおいてより悪化する傾向にあった。これらの結果より腸内において高濃度のNOに暴露されることによりNORV陽性の腸内細菌が選択的に増加しより病原性の高いものとなったことが示唆される。また、腸管免疫系について解析した結果、KOマウスlamina propriaにおいて好酸球が増加していることが明らかとなった。好酸球をリクルートするケモカイン・サイトカインを調べたところKO腸管においてeotaxinおよびIL-5が増加していることが明らかとなった。これら因子を産生する細胞および好酸球増加の生理的意義について検討している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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