公募研究
1.組織特異的遺伝子破壊マウスの作製:IL-7-floxマウスとIL-15-floxマウスを種々のCreマウスと交配し、組織特異的IL-7/IL-15遺伝子破壊マウスを作製した。2. 骨髄のIL-7産生細胞の同定:Prx1-Cre、Col2.3-Cre、Lepr-Cre、Tie2-CreマウスとIL-7-floxマウスを交配したIL-7cKOマウスの骨髄細胞をFACSにて解析し、骨髄でIL-7を産生しB細胞分化を支持するストローマ細胞を同定した。Col2.3-Cre IL-7cKOマウスでB細胞分化が障害を受けなかったことから、造骨細胞が産生するIL-7はB細胞分化と関係がないことがわかった。また、Prx1-Cre IL-7cKOマウスやLepr-Cre IL-7cKOマウスではB細胞分化が強く障害されたことから、骨髄ではおもにCAR(CXCL12-abundant reticular)細胞が産生するIL-7がB細胞分化に重要な働きをしていることが明らかとなった。さらに、骨髄の自然リンパ球についても同様に解析した結果、Col2.3-Cre IL-7cKOマウスでILC前駆細胞が減少していた。したがって、B細胞と自然リンパ球では、そのIL-7ニッチが異なる可能性が示唆された。3. 肝細胞が産生するIL-7とIL-15の局所における機能:Alb-Cre IL-15cKOマウス、Alb-Cre IL-7cKOマウス、Alb-Cre IL-7/IL-15 ダブルcKOマウスにおいて、肝細胞が産生するIL-15が肝臓内のNK細胞、T細胞、NKT細胞の維持において果たす役割を解析した。
2: おおむね順調に進展している
骨髄については、B細胞と自然リンパ球の両者においてほぼ結論が得られつつある。肝臓についてはNK細胞で表現型が得られつつある。以上のことから、ほぼ満足できる達成度と判断した。
肝臓については、Alb-Creに加えてLysM-CreやTie2-Creも導入することで、肝細胞以外のマクロファージや血管内皮細胞由来のIL-15の機能についても検討する。腸管におけるIL-7、IL-15産生細胞の機能については、Villin-Cre IL-7cKO、IL-15cKO、IL-7/IL-15dcKOマウスの腸管上皮内リンパ球の分化、成熟、維持に与える影響についての解析を進めていく。脂肪組織におけるIL-7、IL-15産生細胞の機能については、Adipoq-Cre IL-7cKO、IL-15cKO、IL-7/IL-15dcKOマウスの解析が始まったところであるが、今後解析数を増やし、高脂肪食を投与後の脂肪蓄積についても解析を進める。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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