公募研究
我々はこれまでのT細胞に焦点を当てた研究から、時計遺伝子として知られる転写因子E4BP4/NFIL-3が、過剰な免疫反応を沈静化する働きを持つことを報告した(Nature Immunology 2011)。この分子を欠くマウスは、腸管内に存在するリンパ組織であるパイエル板の数が激減していた。このパイエル板に与える影響は、Lymphoid tissue inducer ('LTi')の発生過程に障害があることを明らかにした。また、E4BP4/NFIL-3の欠損は腸管内に主に分布する3型自然リンパ球(ILC3)の発生過程でも鍵となる分子として働いていることが分かった。ILCはサイトカインの産生パターンの違いによって、ILC1, ILC2, ILC3に分類できる。E4BP4/NFIL-3は、NK細胞の分化に加え、ILC1とILC2の分化過程,特に初期分化過程において必須の分子であることを見いだした。さらに、エピジェネティックな解析から、E4BP4/NFIL-3はId2遺伝子に結合することで、その発現制御によりILCの初期分化課程を制御していることを明らかにした(Cell Report 2015)。一方、肺などの末梢組織では、E4BP4欠損下でもILC2細胞が存在していたことから、E4BP4に依存しない分化経路の存在が浮き彫りにされた。しかしながら、E4BP4非依存的ILC2細胞が存在する環境下でも、E4BP4欠損マウスはシステインプロテアーゼで誘導される急性期アレルギー性気道炎症が減弱しているとともに、それに伴うTh2細胞の集積も顕著に減弱した。この炎症後期に集積するTh2細胞は慢性期の反応系を構成しており、その集積にはILC2細胞あるいは好酸球球からのIL-13の産生が必要とされる。E4BP4は、急性期気道炎症時に起こるIL-13の産生を制御することにより、気道炎症の慢性化を制御するE4BP4の新しい役割が、本計画研究から明らかにされることになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 10件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 6件)
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