研究領域 | ユビキチンネオバイオロジー:拡大するタンパク質制御システム |
研究課題/領域番号 |
15H01167
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 淳二 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10183120)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ユビキチンリガーゼ / 植物免疫 / 膜交通 / 病原体受容体 / 植物 |
研究実績の概要 |
本研究では「植物膜タンパク質のユビキチン修飾と機能発現制御機構の解明」を目指し,3研究課題に取組んでいる。H27年度は以下のような成果を得た。 計画1)ATL31の自己ユビキチン修飾制御と膜交通機能の解析: ATL31の自己ユビキチン(Ub)修飾は,細胞内局在性(細胞膜と内膜系TGN: trans-Golgi network間移動)に重要である。申請者が研究対象とするATL31は,RING型ユビキチンリガーゼ(E3)である。野生型ATL31は主にTGNに局在するのに対し,非活性型ATL31は主に細胞膜に局在することを明らかにした。膜タンパク質に着目したATL31インタラクトーム解析の結果,ATL31の相互作用因子として,TGNにおいて膜融合を調節する膜交通関連SNAREタンパク質SYP4群が同定された。更なる解析の結果,一部のSYP4欠損変異体背景において野生型ATL31が細胞膜にとどまることを明らかにした。 計画2)ATL31による病原体受容制御機構の解析: ATL31は病原性細菌P. syringaeに対する防御応答を正に制御する。植物は,この病原性細菌の鞭毛タンパク質フラジェリンに由来するペプチドflg22を認識し,抵抗性を発動させる。細胞膜上のFLS2にflg22が結合することで,リン酸化カスケードを介した様々な免疫応答が発動する。これまでの解析から,1)flg22処理によってATL31のリン酸化が誘導されること,2)flg22の有無にかかわらず,ATL31はFLS2と相互作用すること,3)ATL31はUb修飾を介して免疫応答を促進していること,等を明らかにした。これらの知見を総合すると,ATL31は植物免疫の開始点であるFLS2と常態的に複合体を形成しており,病原体感染時には自身のリン酸化を引き金に標的をUb修飾することで免疫応答を制御していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画調書に予定している事柄の実施が達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たり,研究計画を進めるとともに,それを論文として公表する。
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