研究領域 | ユビキチンネオバイオロジー:拡大するタンパク質制御システム |
研究課題/領域番号 |
15H01170
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ユビキチン |
研究実績の概要 |
ポリユビキチン鎖は、プロテアソーム分解の基質標識としてだけではなく、シグナル伝達などの多彩な機能を有している。特定のタンパク質が、特定のタイミングで、特定のポリユビキチン鎖の修飾を受ける機構を理解することは重要である。研究代表者は、細胞内に侵入したA群連鎖球菌の観察から、細菌表面のcGMP修飾(タンパク質S-グアニル化)とK63型ポリユビキチン化の相関を明らかにした。タグ化技術を使って細胞質のタンパク質にcGMP修飾を導入したところ、タンパク質とポリユビキチン鎖の共局在が見られた。このことから、cGMP修飾がK63型ポリユビキチン鎖修飾をリクルートするための一般性の高い目印となっていると考えられた。 一方、特定のタンパク質にポリユビキチン化を誘導する小分子の目印としてサリドマイドなどを使う方法が知られている(Bradnerら)。この場合には、目印を導入されたタンパク質にユビキチン鎖が導入され、プロテアソーム分解が起きる。そこで、cGMP修飾を導入したタンパク質においても直接的なユビキチン鎖修飾が起こるか調べた。具体的には、ポリユビキチン化が基質のリシン残基に導入されることに注目し、被cGMP修飾基質のすべてのリシン残基をアルギニン置換してユビキチン化できない状態とした。この場合にも基質タンパク質の周囲にK63型ポリユビキチン鎖が共局在した。この結果は、cGMP修飾とポリユビキチン鎖を受けるタンパク質が異なることを示唆する。 ポリユビキチン化されるタンパク質の同定を目指すため、cGMPを認識するタンパク質群のプルダウン実験を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請の時点での仮説、すなわち、cGMP修飾がユビキチン鎖のリクルートと相関することの一般性を確立することができた。当初想定したモデルとは、相違した実験結果も出ているため繰越手続きをおこなったが、これは新たな現象の解析では通常のことである。
|
今後の研究の推進方策 |
cGMP修飾とポリユビキチン化をうけるタンパク質が別々であることが明らかになったので、両者がどのように相互作用しているのか、プルダウン実験を中心に検討していく。
|