公募研究
助成対象者(松田憲之)は、平27年から平28年に「翻訳後修飾因子の翻訳後修飾:リン酸化ユビキチンの細胞内機能の解析」という課題名で、PINK1 と Parkin が協調して異常ミトコンドリアをユビキチン化し、細胞内から除去する仕組みを解析した。助成期間(平27~28年)中に、Sランク論文を1報(JCB (2015))、Aランク論文を3報(JCS (2015)、JBC (2015), JBC (2016))、Aランク総説を1報(EMBO Reports (2016))発表した。まず助成期間中に、損傷ミトコンドリアにParkinを移行させる“受容体”の実体解明を行なった。PINK1キナーゼの基質がユビキチンであることを手がかりとして、リン酸化ユビキチンとリン酸化Parkinの相互作用を検討したが、両者の結合は非常に弱かった。そこで、リン酸化ユビキチン鎖がParkinと結合する可能性を検証した。ミトコンドリア局在シグナルとタンデムユビキチンを融合(Mt-4Ub)し、PINK1欠損細胞内でParkinと共発現を行なった。Mt-4UbとParkinの両者がリン酸化模倣変異を有する時に限り、PINK1やミトコンドリア膜電位の低下と無関係に、Parkinはミトコンドリアに局在化した。さらに試験管内でリン酸化ユビキチン鎖とリン酸化Parkinの直接的な結合を示した。一連の結果から、助成対象者(松田憲之)はリン酸化ユビキチン鎖が “Parkin受容体”であると結論した。さらに、立教大学の岡教授との共同研究として「PINK1/Parkin系の発動が細胞死を引き起こすメカニズム」を解析するとともに、共著者として「PINK1 と Parkin が異常ミトコンドリアをユビキチン化して細胞内から除去する仕組み」を俯瞰する総説の記載をサポートした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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http://www.igakuken.or.jp/protein/index.html
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