公募研究
本研究は、一次シリアを細胞体から隔てている境界構造の分子構築と、その構造が拡散障壁として、しかも、特定の分子の選択的な出入りを決めるフィルターとしてはたらく機構の解明を目的とする。そのために、生細胞超解像-高速1蛍光分子同時観察顕微鏡システムの3次元拡張をおこない、一次シリア基底部の構造(細胞膜の配向)を3次元的に把握しながら、拡散障壁構成分子の超解像観察、および、シリア局在分子/非局在分子の1分子追跡をおこない、基底部での出入りを調べることを目指した。昨年度に3次元拡張を完了した生細胞超解像-高速1蛍光分子同時観察顕微鏡システムをもちいて、本年度は以下の研究進捗があった。(1) 一次シリアの3次元生細胞超解像観察光変換型の蛍光タンパク質超解像プローブ (mEos3.2) で一次シリアマーカー分子 (Smoothened) を標識し、一次シリア全体の3次元超解像構造を約30秒間観察できるようになった。(2) 一次シリア局在分子 (セロトニン受容体6) の3次元1分子追跡一次シリア基底部と先端部の位置を超解像観察で3次元的に把握しながら、一次シリア細胞膜上の蛍光 (SeTau647) 標識したセロトニン受容体6(Gタンパク質共役型受容体)を、時間分解能16.7ミリ秒 (60フレーム/秒) で、退色するまでの10-30秒にわたって1分子追跡することが可能になった。セロトニン受容体は、基底部で1秒以下の短時間の停留を頻繁に示したが、30秒の観察時間中に、細胞膜上の拡散で一次シリア外部に出ていくことはなかった。露光時間16.7ミリ秒、サンプリングレート4フレーム/秒で、5分間のタイムラプス長時間観察をおこなったところ、細胞内部から基底部に向けた/基底部から細胞内部に向けた、小胞輸送が活発に起こり、セロトニン受容体を含む小胞が基底部近傍に蓄積していることが明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Molecular Biology of the Cell
巻: 27 ページ: 1101-1119
10.1091/mbc.E15-04-0186
Nature Chemical Biology
巻: 12 ページ: 402-410
10.1038/nchembio.2059