研究領域 | シリア・中心体系による生体情報フローの制御 |
研究課題/領域番号 |
15H01217
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
澤本 和延 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90282350)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 薬理学 / 生理学 |
研究実績の概要 |
シリア・中心体は、様々な細胞において重要な役割を担っていることが知られている。胎生期の発生中の脳において、シリア・中心体が新生ニューロンの制御に関わっている可能性が示唆されている。成体脳においてニューロンが移動する際にも、中心体が重要な働きを担っていることが報告されているが、その制御機構や意義には不明な点が多い。また、これらのニューロンにおけるシリアの役割については未解明である。本研究では、成体マウスの正常脳および脳傷害モデルを用いて、脳内で生まれるニューロンが移動する際の、中心体の動態と制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。ニューロンが傷害部位へ移動する際のシリア・中心体系の制御機構の解明は、神経再生の技術開発にも役立つ可能性がある。 当該年度においては、移動するニューロンにおけるシリア・中心体を、複数の方法を用いて観察した。マウス脳室下帯の細胞を培養し、固定後にシリアに局在する蛋白質の抗体と細胞タイプ特異的なマーカーを用いて二重染色を行なった。ニューロンが移動しやすい条件と移動しにくい条件で培養を行い、比較を行なった。次に、マウス脳の切片を作製し、シリア局在する蛋白質の抗体と新生ニューロン特異的なマーカーの抗体を用いて二重染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察を行なった。さらに、電子顕微鏡を用いて細胞内における中心体とシリアの構造を観察した。さらに、脳に傷害を与えたモデルマウスの脳切片を作製し、傷害部位へ移動する新生ニューロンのシリア・中心体を同様に観察した。これらの観察から、シリア・中心体の動態は、移動するニューロンの周囲の環境やニューロン自体の状態によって変化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞や脳障害モデルを用いてシリア・中心体を観察する実験方法が確立され、結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、成体マウスの正常脳および脳障害モデルを用いて、脳内で生まれるニューロンが移動する際のシリア・中心体の動態と制御メカニズムを明らかにするための実験を行う。脳梗塞モデルにおいて傷害部位へ移動する新生ニューロンにおけるシリア・中心体を解析し、正常脳におけるニューロンと比較する。固定した脳切片を光学顕微鏡・電子顕微鏡で解析するとともに、ライブイメージングによる解析を行う。
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