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2015 年度 実績報告書

PCP因子を介した多繊毛極性形成の解析

公募研究

研究領域シリア・中心体系による生体情報フローの制御
研究課題/領域番号 15H01220
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

藤森 俊彦  基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 教授 (80301274)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードマウス / PCP / 卵管
研究実績の概要

卵管では向きの揃った繊毛運動により卵巣から子宮への卵胞の輸送を可能にしている。細胞膜上でPCP因子が機能し、細胞極性を整え、その情報がアピカル面付近の細胞骨格系に反映され、更に多繊毛の基底部の構造を介して繊毛の向きを整えると考えられるが、これらを結ぶ具体的な機構は未解明である。本研究課題では、平面内細胞極性形成を介して多繊毛の向きを揃える機構を解明することを目的として、マウス卵管上皮の培養系と生体内の組織を用いる実験を平行して行う。
1)発生段階を追って、単繊毛細胞から多繊毛細胞形成される間の繊毛の状態の推移をγチューブリン抗体による染色した後に観察した。これまでに単繊毛細胞および多繊毛細胞を1タイプとして分類していたが、細胞内での繊毛の分布様式によってそれぞれ複数のタイプに分類できることが明らかになり、生後の発生段階を細かく区切って、その細胞集団の変遷を定量的に評価した。
2)まず、透過型電子顕微鏡を用いて細胞内での多繊毛の向きを判定する実験を行ったが、多くの薄切片の観察を通して繊毛の見える平面を探し出す必要があることから、変異体など多くのサンプルに対して組織の広い範囲にわたって観察することは容易でないという判断にいたった。そこで、光学顕微鏡を用いてそれぞれの細胞の中で多繊毛の方向性を判別するために、基底小体とBasal footのそれぞれに局在する分子に対する抗体染色により、成体の卵管上皮多繊毛細胞において、繊毛の方向性を光学顕微鏡で解析できる手法を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

卵管上皮においては、生後2日目にはほとんど多繊毛細胞は見られないが、成体においては約8割の細胞が多繊毛細胞である。その間に単繊毛細胞が多い時期から徐々に多繊毛細胞が多い状態に変遷することを観察していた。しかし、この変遷の間の詳細な状況は明らかでなかった。そこで、生後の発生段階を追って、基底小体を染色した卵管上皮を高解像度で解析することで、繊毛の状態の推移を解析した。更に、組織内で多繊毛がどのように方向性を揃えていくかを明らかにすることを目指して、まずは抗体染色により基底小体とbasal footを染め分けた上で光学顕微鏡によって繊毛の方向を解析する系を確立した。更に、生体での判別を行う為に、それぞれに局在する分子を蛍光標識し、それらの分子を発現するトランスジェニックマウスを作製した。

今後の研究の推進方策

繊毛の状態の推移を基底小体を可視化したトランスジェニックマウスを用いて解析する。また、それぞれの段階で繊毛の向きがどこを向いているか、細胞内、細胞間での比較を進める。細胞骨格系を可視化し、高解像度で観察し、繊毛の状態と細胞骨格の関係を調べる。平面内細胞極性に異常を生じる複数の変異体で繊毛の方向および細胞骨格の状態を比較することで、PCP因子がどのように関与して、繊毛の向きが制御されているかを解析する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Univ. of Louvain(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      Univ. of Louvain
  • [国際共同研究] Harvard Univ.(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Harvard Univ.
  • [雑誌論文] Distinct intracellular Ca2+ dynamics regulate apical constriction and differentially contribute to neural tube closure.2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M., Sato, M., Koyama, H., Hara, Y., Hayashi, K., Yasue, N., Imamura, H., Fujimori, T., Nagai, T., Campbell, RE., Ueno, N.
    • 雑誌名

      Development.

      巻: 144 ページ: 1307-1316

    • DOI

      10.1242/dev.141952

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A Wnt5 Activity Asymmetry and Intercellular Signaling via PCP Proteins Polarize Node Cells for Left-Right Symmetry Breaking.2017

    • 著者名/発表者名
      Minegishi, K., Hashimoto, M., Ajima, R., Takaoka, K., Shinohara, K., Ikawa, Y., Nishimura, H., McMahon, AP., Willert, K., Okada, Y., Sasaki, H., Shi, D., Fujimori, T., Ohtsuka, T., Igarashi, Y., Yamaguchi, TP., Shimono, A., Shiratori, H., Hamada, H.
    • 雑誌名

      Dev Cell.

      巻: 40 ページ: 439-452

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2017.02.010

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Dynamics of planar cell polarity protein Vangl2 in the mouse oviduct epithelium.2016

    • 著者名/発表者名
      Shi, D., Usami, F., Komatsu, K., Oka, S., Abe, T., Uemura, T., and Fujimori, T.
    • 雑誌名

      Mech Dev.

      巻: 141 ページ: 78-89

    • DOI

      10.1016/j.mod.2016.05.002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 卵の取り込みと受精卵の輸送2016

    • 著者名/発表者名
      石東博、小松紘司、藤森俊彦
    • 雑誌名

      臨床婦人科産科

      巻: 9 ページ: 810-816

  • [学会発表] Cell polarity formation during the mouse oviduct development.2017

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko Fujimori
    • 学会等名
      Joint Meeting of the German and Japanese Societies of Developmental Biologists
    • 発表場所
      University of Kiel (Kiel, Germany)
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-18
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Mouse oviduct multicilia formation regulated by PCP factors2016

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko Fujimori
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-01
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] The Cadherin Superfamily: Key Regulators of Animal Development and Physiology2016

    • 著者名/発表者名
      Dongbo Shi, Masaki Arata, Tadao Usui, Toshihiko Fujimori, Tadashi Uemura
    • 総ページ数
      428(251-275)
    • 出版者
      Springer
  • [備考] 基礎生物学研究所・初期発生研究部門

    • URL

      http://www.nibb.ac.jp/embryo/index.html

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-01-27  

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