公募研究
初年度では以下の3項目について重点的に研究を行った。得られた成果について各種学会・学術誌に発表した。1) リグニン前駆物質関連分子の局在と高分子リグニン局所構造の解析: リグニン前駆体の可視化について、マトリクス効果の検証を進展させた。またレーザーマイクロダイセクションを用いた組織分離により、局所構造の解析を行った。2) 同位体標識化合物の合成と投与: 安定同位体標識化合物を合成し、植物への投与を行った。安定同位体標識化合物が植物中でリグニンへと取り込まれたことを確認した。得られた標識リグニンについて、引き続き構造解析を進める予定である。3) 各種化合物の標品スペクトルデータベースの構築: 植物中には様々な水溶性・非水溶性成分がある。特に微量成分に関しては既報の化合物であっても純粋な化合物としては市販されていないことが多い。そのため、植物中の分布解析を進める上で、抽出実験を並行して進める必要がある。本年度では樹木からの抽出実験を行い、各種の抽出成分を単離・精製して二次イオン質量分析に供した。今後も各種化合物の抽出およびスペクトルデータベースの構築を継続する。
2: おおむね順調に進展している
初年度では3項目について重点的に研究を行った。1) リグニン前駆物質関連分子の局在と高分子リグニン局所構造の解析: 前駆物質の可視化と局所構造の解析について、それぞれ一定の成果は得られたものの、それらを密接に結びつけて解明するには至っておらず、引き続き検討が必要である。2) 同位体標識化合物の合成と投与: 順調に安定同位体標識化合物を合成することができた。さらに当初では第二年度に計画していた投与実験の一部を先行して進めることができ、試料を得ることが出来たため、本項目については研究計画以上の進展があった。3) 各種化合物の標品スペクトルデータベースの構築: 2種植物について抽出実験を行い、様々な化合物を単離・精製した。得られた化合物についてはそれぞれ特徴的な植物内分布可視化を達成した。以上のように、一部課題が残るものの、計画以上に進展した項目もあり、総合的には順調に進展しているものと判断した。
当初の計画に沿い、応用展開として様々な樹木中微量成分の時空間配置を可視化し、植物生理学的な役割を解明する。さらに各種の状態・物性解析との複合化を目指して、研究を推進する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
紙パ技協誌
巻: 70 ページ: 308-315
10.2524/jtappij.1506
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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IAWA Journal
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Journal of Wood Science
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植物の生長調節, Regulation of Plant Growth & Development
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