公募研究
ヒトNPC1の多様性とフィロウイルスに対する感受性:ヒト由来Jurkat TおよびRamos B細胞はいずれもフィロウイルスに対して非感受性である事が知られている。面白いことに、Jurkat T細胞は、フィロウイルスの細胞吸着因子の一つであるC型レクチンを発現させることによって感受性を獲得したのに対して、Ramos B細胞は非感受性のままであった。そこで、Jurkat TおよびRamos B細胞のNPC1遺伝子をクローニングし、アミノ酸配列を比較したところ、2箇所(200番目と215番目)のアミノ酸が異なる事が分かった。これらのNPC1をクローニングし強制発現させた細胞を確立し、Vesicular Stomatitis Virus (VSV)のシュードタイプシステムを用いて、フィロウイルスに対する感受性の違いを解析したが、違いは認められなかった。コウモリ由来細胞のフィロウイルスに対する感受性を決定する因子の探索:既知のフィロウイルス全てについて、GPを持つシュードタイプウイルスの感染性を様々なコウモリ由来の培養細胞で比較した結果、エボラウイルスは感染するがマールブルグウイルスは感染しないコウモリ細胞(FBKT1)が存在する事が明らかとなり、レセプター(NPC1)の違いによるものと推定された。FBKT1にヒト由来のNPC1を導入するとマールブルグウイルスに対する感受性を獲得した。マールブルグウイルス感受性細胞とFBKT1の間で、NPC1のアミノ酸配列を比較した結果、GPとの結合に重要と考えられている領域のアミノ酸配列に違いが認められた。また、NPC1との結合に重要と考えられているGP上のアミノ酸配列にもエボラウイルスとマールブルグウイルスの間で違いが認められた。これらのアミノ酸を入れ替えると感染性が逆転した。以上より、GPとNPC1の結合がフィロウイルスの宿主域に関与している事が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件)
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