公募研究
本研究課題では、ヒトの認知症や精神疾患に類似した行動薬理学的表現型が、脳内シナプスの構造異常(マイクロエンドフェノタイプ)として表出すると仮定し、シナプス構造を高分解能且つ3次元的に定量的に評価できる観察系を構築すること、そして、この観察系を用いて精神神経疾患モデルマウスの構造異常を同定することを目的としている。そこで、H27年度は、近年開発され導入された集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)による、脳組織の観察法の確立を行い、H28年度は、野生型と見当識様行動異常を示すマウスの脳組織を用いて、種々のシナプス結合種を観察し、その観察基盤の強化と実用例を示すことを目標として研究を進めた。解析対象とするシナプス結合は、当初の予定を変更し、嗅内野-歯状回シナプス連絡2種、嗅内野-海馬CA1シナプス連絡、海馬CA3-CA1シナプス、小脳平行線維―プルキンエ細胞シナプス連絡の5種を対象として進めた。計測対象微小構造としては、シナプス前膨大部、シナプス小胞、ミトコンドリア、シナプス後スパイン、シナプス後肥厚、スパイン内の滑面小胞体とスパイン器官とし、体積、数、面積等、各対象に適した数値情報を計測し、統計的な数値情報と共に、各計測項目間の相関を検討して、シナプスの構築則を探索した。その結果、シナプスの種類に応じた各種構造間の協調的な増減(相関)が存在することを見出すと共に、その相関関係が行動異常を示す遺伝子欠損マウスで変異していることも見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
J Clin Invest
巻: 126 ページ: 1983-1997
10.1172/JCI82859
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 31540
10.1038/srep31540