公募研究
NMDA仮説に代表されるように、統合失調症など精神疾患の病態はシナプス機能異常と密接に関連していると推測されるが、これに基づく定量的なエンドフェノタイプは確立していない。一方、統合失調症様の精神症状を亜急性に生じる免疫介在性脳炎は、患者自己抗体がNMDA受容体やLGI1など脳内シナプスの抗原蛋白質に直接作用して発症する。したがって、免疫介在性脳炎自己抗体が惹起するシナプスの変容は、精神疾患におけるマイクロエンドフェノタイプを反映するものと考えられる。本研究では、申請者らが最近開発したシナプスナノドメイン可視化法およびグルタミン酸受容体マッピング法により、免疫介在性脳炎自己抗体が惹起するシナプスの構造的、機能的変化を捉え、精神病態におけるシナプス変容の新しい評価法を確立することを目指す。今年度は、1解析対象となる精神症状と関連する自己抗体種を絞り込んだ。また、2超解像顕微鏡を用いたシナプスナノドメイン可視化法およびグルタミン酸受容体マッピング法の特異性を検討し、またヒト自己抗体存在下など本手法の適用条件を広げるため、改良方策を検討した。さらに、シナプスナノドメインの生理的変容を制御すると考えられる候補分子を見出した。
2: おおむね順調に進展している
上記のように、免疫介在性脳炎自己抗体が惹起するシナプスの構造的、機能的変化の超解像可視化について、計画を進めるために必須の1精神病態関連自己抗体を得て、また2シナプスナノドメイン評価法を改良した。
現在まで順調に進捗しており、来年度も目標達成に向けて、当初の計画どおりに研究を進める。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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