研究領域 | 運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性 |
研究課題/領域番号 |
15H01308
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
稲葉 一男 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80221779)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ハプトネマ / ハプト藻類 / カルシウム / コイリング / 微小管 |
研究実績の概要 |
ハプトネマはハプト藻類に特異的に見られる細胞運動装置であり、障害物からの回避や食餌など多彩な機能を有している。障害物回避に見られるハプトネマの高速な収縮は「コイリング」と呼ばれる。ハプトネマは微小管骨格からなるが、分子モーター様の構造は認められず、この高速運動のメカニズムは未知のままである。今年度は、まずコイリングが微小管のダイナミクスに依存して起こる現象であることを明らかにした。具体的には、微小管の脱重合阻害剤であるタキソールを作用させると弱い周期的な屈曲が観察されるが、コイリングが阻害されることがわかった。次に、RNAseqをもとにして、ハプト藻の発現遺伝子情報を収集するとともに、ハプトネマを選択的に単離する方法を確立し、ハプトネマ特異的タンパク質の同定を試みた。その結果、EF-handと特徴的なリピート構造を含む新規タンパク質を同定した。このタンパク質は、ハプトネマが存在するハプト藻類種にのみ特異的に存在することから、カルシウム依存的なコイリング現象に関わるタンパク質の候補として考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハプトネマのコイリングメカニズムに関して、微小管のダイナミクスが関与している可能性を示唆することができた上、コイリングに関わる可能性の高い候補タンパク質を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コイリングに関わる可能性の高い候補タンパク質の構造決定、局在解析を重点的に行うとともに、領域班の協力を得て、クライオ電子顕微鏡によるハプトネマ構造の解析を行い、このタンパク質と微小管配向の関連性、カルシウム応答について明らかにする。
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