前年度から継続して蛍光標識法による解析を進めたところ、In vivoにおける組織形態制御のモデルとしてアフリカツメガエル胚表皮の修復過程における細胞運動の主要な駆動力には、細胞骨格アクチンとセプチン、モーター蛋白質Ⅱ型ミオシンの他、微小管、その他のモーター蛋白質の複合的な機能が重要であることが見出された。これらの想定していなかった細胞骨格とモーター蛋白質の関与を解明することがin vivo細胞集団の駆動力制御の解明に必要であると考えられたため、各々の組織修復過程における機能の検証を開始した。特に、セプチンの機能としてそれぞれの機能を統合する可能性が予想されたため、組織形態修復における微小管とセプチンの機能、および機能未知であるモーター蛋白質・非典型ミオシンの関与、さらには前年度に見出された細胞内カルシウム動態の検証を行った。この過程で、細胞内カルシウムの可視化および細胞内カルシウム濃度を細胞レベルで操作する方法などを試行し、組織修復過程特有の細胞内カルシウム動態を検出するなど、一定の成果が得られた。さらに、各因子の機能を検証する方法として、モルフォリノアンチセンスオリゴを用いたノックダウン法を行ったが、それに加えて、ゲノム編集によるノックアウトも試み、胚発生過程に対する影響は検証可能となった。 In vivo組織形態形成過程においても蛍光標識法を行ったところ、当初想定した以上にダイナミックな細胞骨格の時間的・空間的制御が見出された。さらに、この細胞骨格の時間的・空間的制御に関わる制御因子の機能を解析・検証した。また、当初計画した電子顕微鏡による観察では、前年度で判明した固定法の課題に加え、上述のような刻々と変化する細胞骨格動態を捉えることが困難であったが、一方でその細胞骨格動態を支え、組織全体の形態変化に必須であると予想される細胞接着の配置に関する結果が得られた。
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