公募研究
私は膜運動を生み出す脂質二重層間におけるリン脂質の量的・質的変化に着目し、その作用機序の解明を目的としている。本研究では、脂質二重層の時空間的非対称性を調節するP4-ATPaseに着目した。細胞膜に存在するP4-ATPaseの基質特異性を一部決定し、ホスファチジルコリンをflipするP4-ATPaseを発現することで細胞接着、Spreading、接着班の形成が遅延することを見出した。さらに、P4-ATPaseによる膜運動(膜変形)を評価するための実験系を立ち上げた。ラパマイシンによるFRBとFKBPの相互作用を利用した実験系である。FRBに細胞膜結合ドメインを融合させ、FKBPには膜の曲率を認識するBARドメインを融合させて同時に細胞に発現させ、ラパマイシンを処理することでBARドメインを細胞膜に移行させることができた。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、P4-ATPaseの基質特異性を決定し、ホスファチジルコリンをflipするP4-ATPaseによって細胞膜ダイナミクスに影響を及ぼすことで細胞接着、spreading、接着班形成が遅延することを見出し、その成果を現在投稿中である。
P4-ATPaseによる膜運動(膜変形)を評価するための実験系を立ち上げたので、その実験系を用いてP4-ATPaseの発現による膜変形への役割を調べる。さらに、脂質変容による膜変形と細胞骨格との関連を調べていく。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/hshin/ShinPublications.html