研究領域 | 運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性 |
研究課題/領域番号 |
15H01323
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩楯 好昭 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40298170)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゾウリムシ / メタクロナールウェーブ / 繊毛 / 鞭毛 / メカノセンシング |
研究実績の概要 |
“繊毛”はゾウリムシの体表から高等動物の気管上皮、卵管、脳室上衣細胞等にまで存在する普遍的な器官である。1本1本が独立して運動するにも関わらず、隣接した繊毛は一定の位相差を保ちつつ屈曲を繰返し、効率的に水流を発生する。この細胞表面を伝わる屈曲の波をメタクロナールウェーブと呼ぶ。H25-26新学術運動マシナリー領域公募研究において、代表者らはゾウリムシを用いた実験でメタクロナールウェーブが外液の水流だけではなく、細胞表層の弾性を媒体としても伝達できることを明らかにした。本研究では、(A)細胞表層の弾性を媒体とするメタクロナールウェーブの伝達機構がゾウリムシ以外の高等動物細胞でも機能することを示し、この伝達機構の普遍性を実証する。さらに(B)細胞表層の弾性がどうやってウェーブを伝達させるのか、具体的な分子実体とメカニズムを明らかにする。 平成27年度上記(B)に関して、ゾウリムシの細胞をシート上に開裂しそのシートを伸縮させる実験系を開発した。さらに、まだ予備実験段階ながら、伸縮周波数に応じてメタクロナールウェーブの周波数が変化する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1次元でしか観察できなかったゾウリムシの細胞伸縮実験系を2次元に拡張させることに成功した。今後平成28年度に、この実験系を用いて大きな飛躍が期待できる。さらに、多細胞での実験を開始することで、普遍性の証明を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
ゾウリムシ細胞の2次元平面でのメタクロナールウェーブの観察とその2次元平面への伸縮負荷でウェーブ周波数がどのように変わるか定量的な実験を行う。さらに、ウェーブ伝播媒体として、細胞骨格分子セントリンがどのように関わっているかを明らかにするために、セントリン欠損ゾウリムシ細胞を用いて同様の定量的な実験を行う。 さらに、ゼノパス胚の細胞群を用いてそこに伝播するメタクロナールウェーブがゾウリムシ同様の特性を示すことを明らかにし、普遍性の証明を行う。
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