公募研究
細胞内及び再構成アクチン繊維を対象として、細胞運動に関わるその構造変化を捉える事を目的とるいして研究を進めた。フィロポディアは細胞運動の中で、細胞の運動の方向性を決定づける細胞内装置のひとつである。そこで、クライオ電子線トモグラフィー法を使い、神経細胞のフィロポディア(糸状仮足)の内部のアクチン繊維束の動態を、三次元構造としてナノメータ分解能で明らかにした。その結果、約30本のアクチン繊維を単位としてフィロポディアが出来上がっていること、その束化因子であるファシンはアクチン繊維に周期的に、かつ、協働的に結合していることが分かった。更に、三次元構造の平均化を行い、架橋しているファシンの3-4ナノメータの分解能での構造を解き、三種類の結合部位を2:1の組とし、それぞれが隣り合ったアクチン繊維い結合し、架橋していることが分かった。そのうち、アクチン繊維束周辺では、隣にアクチン繊維がない場合でも、2つの結合部位側を利用して、アクチン繊維から周期正しく結合していることが観察された。このことは、アクチン繊維束を超えた協働的なアクチンの構造変化を示唆している。これらの結果から、フィロポディア内部におけるアクチン繊維束の形成メカニズムについて新たに提案する事ができた。現在、更に、アクチン繊維の形成が誘導されているフィロポディア先端の構造解析を進め、その形状の違いを確認したところである。上記以外に、継続中の研究として、第一に、査型電子顕微鏡を使い、毛乳頭細胞の三次元培養状態における細胞動態の観察手法を確立した。第二に、再構成アクチンフィラメントについて、ミオシンの結合有無、リガンドであるヌクレオチドによるアクチンフィラメントの構造変化を捉えることに成功している。これらは、更に、確度と精度を上げるべく継続的に研究を進めている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 39902
10.1038/srep39902
Cytoskeleton
巻: 73 ページ: 365-74
10.1002/cm.21309
http://www.yasunaga-lab.bio.kyutech.ac.jp/