公募研究
肺炎マイコプラズマの細胞接着と滑走運動を担う P1 タンパク質の構造解析を進めるため、組換え P1 の生産条件を改良した。改良した条件では、大腸菌培養液 1 リットルあたり、1~1.5 mg 程度の高純度な組換え P1 が精製でき、10~20 mg/ml の濃縮 P1 サンプルが大量調製できようになった。このサンプルを使用し大規模な結晶化スクリーニングを行ったが、X線結晶解析を行えるような P1 結晶は得られなかった。現時点で P1 結晶を得ることはできなかったが、X線小角散乱法(SAXS)による分析では、組換え P1 は球状の単量体で、コンパクトな形状をしており、今後結晶化条件が見つかる可能性はあると考えられる。P1 にはアミノ酸配列が少し異なるサブタイプがいくつか知られている。本研究課題では 1 型の P1 について結晶化の試みを続けてきたが、2a 型の P1 についても、今後結晶化を試みるため発現系を構築した。組換え P1 について領域内の共同研究でクライオ電顕による単粒子解析も進めた。一方、肺炎マイコプラズマの HMW2 は 216 kDa の細胞骨格タンパク質で、coiled-coil モチーフに富んでいる。HMW2 は肺炎マイコプラズマの接着器官の形成と維持に必須な細胞骨格(core 構造)の主成分だと考えられている。HMW2 は N末端を細胞の外側、C末端を内側に向ける配置で平行に会合し core 構造を形成していると考えられる。今回 HMW2 の coiled-coil モチーフ領域を欠失または重複させることによって、肺炎マイコプラズマの細胞内で core 構造の長さを 変化させられるようになった。Core 構造の長さが異なることよって、肺炎マイコプラズマの滑走運動性がどのように変化するのか詳しく解析している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Future Microbiol.
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