研究領域 | 高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解 |
研究課題/領域番号 |
15H01340
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原田 昌彦 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70218642)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 転写サイクル / クロマチン / アクチンファミリー |
研究実績の概要 |
転写サイクルの機能に、クロマチン構造を変換するクロマチンリモデリング複合体が関与することが知られている。しかし、細胞あたりのクロマチンリモデリング複合体の分子数は、こららの多様な機能に比べて著しく少ないことが報告されている。この知見は、クロマチンリモデリング複合体が、転写サイクルの進展に伴って、形成や解離を繰り返している可能性を示している。本研究では、クロマチンリモデリング複合体の構成因子として広く含まれているアクチンファミリーに注目して、これらの分子がクロマチンリモデリング複合体の「リサイクル」にどのように関与しているか、また、転写サイクルの進行にどのように関与しているかについて、解析を行う。ヒトのINO80クロマチンリモデリング複合体を解析対象とし、この複合体に含まれるアクチンファミリーArp5, Arp8に注目して解析を行った。これらの遺伝子をノックアウトしたヒト細胞を用いて、ヘムオキシゲナーゼ1遺伝子の酸化ストレスによる発現誘導を観察したところ、これらのアクチンファミリーが、INO80の機能に重要な役割を果たすことが示された。クロマチン免疫沈降などの解析によって、Arp8がINO80複合体のクロマチンへのリクルートに、またArp5はINO80複合体の活性化に必要であることも示された。さらに、Arp5, Arp8の機能解析の目的で、これらの分子に結合するbicyclic peptideをスクリーニングによって得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
INO80クロマチンリモデリング複合体におけるArp5, Arp8の役割について新たな知見を得ることができた。また、これらの分子に結合するbicyclic peptideをスクリーニングによって得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Arp5およびArp8をノックアウトした細胞を用いて、転写サイクルにおけるこれらのアクチンファミリーの機能をさらに明らかにする。また、これまでに得られているbicyclic peptideを、こららの分子の機能解析に用いると共に、人為的にクロマチンリモデリング複合体の機能を制御する可能性についても検討する。
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