研究領域 | 高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解 |
研究課題/領域番号 |
15H01345
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青田 聖恵 (浦聖恵) 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80289363)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クロマチン / ヒストンメチル化 / 転写 / B細胞分化 |
研究実績の概要 |
転写活性領域に高度に分布するH3K36メチル化を担う酵素の一種であるWhsc1の欠損マウスは、B細胞の分化異常を示す。Whsc1は様々な転写因子の機能発現に関与するが、Whsc1自体の機能は定かでない。そこで造血幹細胞からストローマ細胞との共培養によってB細胞に分化させるex vivo培養系を用いて(1)新生RNAの解析(2)タンパク複合体解析を進め、新規の転写サイクル機構の解明を目指した。 前者の、Whsc1欠損による新生RNAの質的、量的変化の解析では、分化誘導したB 細胞を4-チオウリジンでパルスラベルしてビオチン化し、新規合成RNAだけ回収し次世代シークエンサーによって解析するサンプルの調整まで完了した。 後者のB細胞におけるWhsc1複合体解析では、当初、preBの培養細胞でタグ付きWhsc1を過剰発現させて精製する予定を変更して、より生体に近いない財政のタンパク複合体の精製を試みることにした。具体的にはex vivo培養系でWhsc1の発現が高いproB細胞に分化誘導して細胞抽出液を調整し、Whsc1抗体を用いてWhsc1複合体を精製し、複合体の構成因子を多数同定した。複合体には転写とDNA複製、さらに修復に関わる因子が複数含まれ、異なるDNA代謝反応のカップリングが示唆された。培養細胞系に加えて、造血幹細胞特異的にWhsc1を欠損したマウスが樹立され、個体レベルでB細胞の分化異常の解析が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新生RNAの調整と次世代シークエンサーを用いた解析のためのサンプル調整する実験系の立ち上げが完了した。また、Whsc1複合体解析では当初、培養細胞の強制発現系で精製することを計画したが、生体を反映した内在性のWhsc1を抗体を用いて、遺伝子欠損で分化異常が明確に認められる段階の複合体を精製することができた。さらに複合体に含まれる因子を網羅的に同定することができたので、これから得られる新生RNAの異常の解析結果と統合して、新規の転写サイクル制御機構のモデルを構築する目処を付けることができたと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に確立した複合体精製法で、再度複合体精製を繰り返し、Whsc1複合体構成因子として再現性を確認する。また、調整した新生RNAの次世代シークエンサーによる解析の結果を待っている。野性型とWhsc1欠損B細胞で進行中の転写を比較し、Whsc1のゲノム局在を照らし合わせて、転写異常を具体的に解明する。さらにターゲット遺伝子座を絞り込んで、分化段階を追って、同定したWhsc1複合体因子の結合解析して、新規の転写サイクルモデルを提示する。
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