公募研究
本研究では、細胞死に起因する細胞応答の分子機構として自然免疫センサーMincleに注目し、以下の検討を行った。1.Mincleの内因性リガンドの同定;Mincle-NFAT-GFPレポーター細胞の活性を指標として、種々の病態モデルにおけるMincleリガンドの同定を試みた。腎虚血再灌流傷害モデルにおいて、脂溶性分画中にMincleリガンド活性を検出し、さらに、薄層クロマトグラフィーを用いて絞り込みを行っている。一方、肥満の脂肪組織ではMincleリガンド活性を検出できなかった。そこで、脂肪組織の虚血再灌流傷害を惹起したところ、CLS形成を伴う間質線維化が認められ、より短期間で、強い脂肪組織リモデリングを呈する新しい実験系を確立した。2.NASHの肝線維化におけるMincleの意義の検討;MC4R欠損マウスを用いた独自のNASHモデルにおいて、肥満の脂肪組織と同様のCLS形成や間質線維化を認めたため、MC4R・Mincleダブル欠損マウスを作製し、肝線維化におけるMincleの意義を検討した。その結果、MC4R・Mincleダブル欠損マウスにおいてもNASH病変が認められ、Mincleは肝線維化に影響を及ぼさないことが明らかとなった。本研究により、CLSの病態特異性、あるいは組織特異性の存在が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
内因性Mincleリガンドの実験系が構築され、種々のサンプルを用いてスクリーニングを行っている。より短期間で、強い慢性炎症を呈する新たな動物モデルも作製した。Mincleの意義に関する研究も遺伝子操作マウスの交配が順調に進み、順次、結果が得られている。
引き続き内因性リガンドの探索を進めるとともに、NASHにおける新たな細胞死センサーの探索にも着手する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 23097
doi: 10.1038/srep23097.
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0121528
doi: 10.1371/journal.pone.0121528.
Inflamm. Regen.
巻: 35 ページ: 167-171
巻: 5 ページ: 16867
doi: 10.1038/srep16867.
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mmm/index.html