現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRPチャネルのひとつであるTRPC5 (Nat. Chem. Biol., 2006)の構造変化メカニズムに着目し、そのS-ニトロシル化部位として同定されたCys553を含む部分構造を「ROS反応部位」として用いた。TRPC5から選定したROS反応部位を分割GFP (spGFP : Baird, G. S.; Zacharias, D. A.; Tsien, R. Y. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 1999, 96, 11241) の発色団付近に融合させた。発色団付近にROS反応部位を導入できるspGFPを用いるため、ROS反応部位の構造変化に鋭敏に応答して蛍光が大きく変化すると期待した。NOによりTRPC5のCys553のチオール基がS-ニトロソ基となった後にCys558とジスルフィド結合を形成することで引き起こされる一連の構造変化が、spGFPの発色団近傍の構造を変化させ、その結果、NOによる翻訳後修飾に依存したspGFPの蛍光変化が観測できると考えた。分割型および円順列変異型の二種類のGFPの蛍光団付近にNO応答部位を導入したNOセンサーを構築し、その機能を評価したところ、構築したGFP融合タンパク質のうち、NOとの反応によって蛍光発光挙動が変化するものが得られた。この結果は、当初の分子設計指針が有効であることを支持している。加えて、当初の設計通り、レシオ型センサーとして機能することも明らかになった。
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