公募研究
「骨と腎臓」の機能連関は、生体の低酸素応答の要となる制御基盤である。両臓器を結びつけるホルモンの一つに、エリスロポエチン(Epo)があり、その作用は、単に赤血球の産生亢進だけでなく、造血の場を司る骨の代謝にも関与する。Epoによる骨代謝制御は、破骨細胞による骨破壊の促進を伴う。しかしながら、破骨細胞自身は、Epoの受容体を発現しておらず、その作用は間接的と不明な点が多い。そこで、本研究では、Epoによる骨髄内酸素環境の調節を介した破骨細胞制御の是非を検証する。本年度では、Epoによる破骨細胞形成への影響を生体レベルで明らかにするために、Epo投与マウスを用いたgain of function並びにISAMによるloss of function解析に従事した。その結果、Epo投与マウスは破骨細胞数の増加とともに骨量減少を、一方ISAMは破骨細胞数の減少並びに骨量増加を呈することを見出した。また、Epo投与による骨髄内酸素濃度がどのように変化するかを捉える方法として、イリジウム錯体の酸素プローブBTPDM1を用いた酸素イメージングの実験系を立ち上げた。実際に、マウスが吸入する酸素濃度を20%から95%へ変動させた場合、骨髄内の赤血球系列細胞からのリン光強度が顕著に低下することを観察した。一方、免疫組織化学による方法として、pimoを投与したマウスから骨を単離し、whole mount免疫染色と組織の透明化を併用することで、骨髄内低酸素領域を評価する実験系を立ち上げた。Epo投与マウスでは、骨髄内の低酸素領域が減少することが判明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular and Cellular Biology
巻: 36 ページ: 1610-20
10.1128/MCB.01028-15