研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
15H01443
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
玉巻 伸章 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20155253)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 軟膜 / 神経前駆細胞 / 大脳新皮質 / 興奮性神経細胞 / 抑制性神経細胞 / てんかん |
研究実績の概要 |
人間の脳を構成する神経細胞の大半は胎児期に産生され、出産後には、陳述記憶を取り入れるための歯状回顆粒細胞のみが産生され続けます。また生後には、大脳新皮質、脳室下帯神経前駆細胞が増殖して、嗅球顆粒細胞が産生され続きます。しかし、大脳新室では、新しい神経細胞を供給する領域は見つかっておりませんでした。その様な中、今般、大脳新室に神経細胞を供給する組織を確定しました。それは、胎児期に軟膜を貫いて、大脳新皮質外に飛び出した神経細胞前駆細胞でした。しかし、胎児が成長するにつれて、冬眠するかのように、観察されなくなりました。しかし、マウスにキンドリングのストレスを加えると、再び、神経前駆細胞が現れ、盛んに分裂するようになりました。更に、この様な神経前駆細胞にGFPを発現するレトロウイルスを感染させて、その細胞の運命を追いかけた結果、最終的に大脳新皮質の神経細胞に成ることが証明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスでは、大脳新皮質にキンドリングや、神経細胞を一部除去すると、軟膜の細胞の核が、BrdUを取り込み、細胞が盛んに分裂するようになります。更に、時間を経ると、軟膜のBrdU陽性の細胞は、抑制性神経細胞マーカーである、GAD67を発現しました。また、他のBrdU陽性の細胞は、興奮性神経細胞マーカーである、NEXを発現し始めました。更に時間が経つと、BrdU陽性の細胞は、軟膜を貫いて次々と、大脳新室実質に観察されました。この様な細胞をGFPの免疫組織法で染色すると、興奮性神経細胞や、抑制性神経細胞であることが分かりました。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は、神経前駆細胞が存在し、軟膜に移行し、その場に温存されていることを証明して来ましたが、新生された神経細胞は、抑制性神経細胞と興奮性神経細胞であることは、明白ですが、分子的に、また電気的な神経活動が記録しなければ、確実とは言えないので、興奮性神経活動と抑制性神経活動を、宋先生と共同研究を行い、興奮性神経活動と、抑制性神経活動を記録します。
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